昔のこと
部屋を漂いながら、私はここに始めて来た時の事を思い出した。
マザーステーションが完成して、5つのサブステーションを並行して建設する為に人員の補充で私は宇宙に上がってきた。
ステーション建造の為、作業用マシーンは有線の物がメインで作業が行われていた。
今ではメインになっている、試作0型作業用マシーンも30機配備されていた。
宇宙に上がりたての私は、作業用マシーンをうまく扱う事が出来ず、作業も遅かった。
その為、憎い事を多く言われていた。
私自身も、この仕事は向いていないのではと思い始めていた時だった。
そんな時に手を差し伸べてくれたのは、今は亡きレディウス。
レディウスは、私に楽しみながら操作を覚える方法など色々教えてくれた。
5つのサブステーションが3分の2完成した際、月への開拓計画が発表された。
サブステーション建設から作業用マシーン20機、資材船もいくつか月の開拓に使用することになった。
そんな時に原因不明の爆発により、月に大きなクレーターができた。
そして、月の開拓作業をしていた全員死亡で、月の開拓は急遽中止となった。
月の爆発事件で、私に作業用マシーンの操作を教えてくれたレディウスも亡くなった事を、爆発事件の数日後に聞き、私は驚きを隠せなかった。
現実を受け入れられない私は、慕っていたレディウスの事を忘れられるように、サブステーション建造やスペースデブリ回収の仕事をやり続けた。
2年経った今でも、あの時の事を思い出すと胸が苦しくなる。
色々と思い出していると、部屋のドアが開き無重力に設定していたのがリセットされ、宙に浮いていた私の体が床に落下する。
床に近い高さだったから特に問題はなかったけど、何ともタイミングが悪い。