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○○王子と婚約者の私

パスワード王子と婚約者の私

応募の都合上……本文は千文字で終わりです!

 私の婚約者は王子様。

 王位継承順位は、そこそこ低い。

 ご公務とかも、本当にそこそこ。

 殿下はいつも暇そうで、私はそんな殿下が心配で。

 私の足の向く先。

 暇人の根城。

 殿下の研究室。


「でんかーっ!」

「やあ婚約者殿」

「うわっ!」


 扉を開けると、目の前に殿下の顔があった。

 めちゃくちゃびっくりした。


「心臓が止まるかと……。今日も婚約者の私が様子を見に来ましたが——」

「パスワードだ」

「はっ?」


 突然何を言い出すの?


「今日から入室時に本人確認を行う」

「はぁ」

「まずは合い言葉を決める。言い当てられれば本人だと分かる」

「あの、殿下」


 突然過ぎて意味不明だ。


「なぜ急にそんなことを? 何か問題でもありましたか?」


 殿下の頭にでも問題————


「問題はない。だが問題が起きてからでは遅い。セキュリティー強化だ」

「それで合い言葉ですか」

「うむ。それで、まずパスワードは容易に推測されないことが重要だ」


 確かに、他人が簡単に当てられるようでは意味がない。


「それとパスワードは秘密だ。家族や親友であっても知られてはならない」


 なんだかまだ心臓がどきどきしてる。

 心臓発作の予兆だろうか。


「では殿下と私だけの秘密ですね」


 殿下が確認するのだから、当然そうなる。

 二人だけの秘密……胸がキュンキュンするやつだ!


「いや、俺にも言ってはならない」

「えっ」


 それでどうやって確認するの!?


「ここに『ハッシュ関数』がある」


 殿下がノートを取り出した。

 何やら複雑な数式が書かれている。


「これでパスワードの『ハッシュ値』を求める」


 何それ……。


「婚約者殿は、自分でハッシュ値を計算して、俺に教えてくれ」

「はぁ」

「同じパスワードなら同じハッシュ値だ。一致すれば本人だと分かる」


 正直……めんどくさっ!


「あの、殿下」

「なんだ、婚約者殿」


 どきどきしていた心臓は、すっかり落ち着いてしまった。

 心臓発作のおそれはなさそうだ。


「顔パスでは駄目ですか?」

「それではセキュリティー強化にならないだろう」


 そんなのどうでもいいよ。


「殿下は、パスワードなどに頼らなければ、私を見分けられませんか」

「いや、そんなことはない」

「でしたら! 面倒なことはやめましょう! やめやめ!」

「しかしなぁ……」


 ぐずぐず言う殿下。

 私はもういいだろうと思ったけど、諦められない殿下は。


「あっ、そうだ、生体認証だ」


 言って私の手を取る。

 これって……!


「まずは指紋を採る! 一致すれば本人だと分かる!」


 この殿下……本人で間違いない。

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