血の味
こんな世界になったのに、何で人の目なんか気にしなくちゃいけないのだろう。という、素朴な疑問が浮かんだ。え。何で気にしなくちゃいけないのかな?ねぇ、それって意味ある?
むふふふふ~そんなの意味ない。
「早くなんか食べ物~!!」これが、捕虜の態度なのだろうか。
彼は、捕虜でありながら、ありながら!俺の頭を叩いている!!なぜ、なぜ!!!!
叩くなんて生易しいもんじゃない。お腹を触ったりしてきやがった。アウトなんだよ!そこは!!
ふーーー。
あのですね、人間というのは非常に残酷なのだ。
ここには捕虜がいるね、彼らは毎日二千キロカロリーほどの食事を必要としているのだった。え、それウチで負担しなくちゃいけないの?ええ?マジ?
ここにはね、肉があるんだわ。それも、良い感じにスモークされ、一人頭40キロほどの肉があってしかも、人が生きるのに必要な栄養素が入ってる。
2本足の豚だ……。
お前も食べるのかって? 食べないよ、だって気持ち悪いもん。
「そんな目で見るなよ」
オルチャンが見てる。喉をならし、真っ白で粘りけのある、よだれを垂らしている。
「ダメだ。お前のじゃない」
といっているのに、太股に前足をのせておねだりだ。
いや、思うのだが、狩りをするということは、狩られる覚悟があるということだろう。彼らだって。
耳を切ろうね。
それがたまたま手が滑った。
オルチャンは人肉を食べる。
そう。この日、血の味を知った。




