エッグ
この世界には神様がいて、時々ものすごく面白いことを用意してくれている。そう、確信した。
直近のフライト記録を確認していて変なことに気がついたのだ。
ネット上では誰でも無料で、どの飛行機がどこを飛んでいたかが分かるサイトがある。飛行機はすべて自分の位置を報告する義務があり、そのための器機を搭載している。搭載しなければ敵味方が区別できず、軍用機に撃墜されるからだ。で、誰かがその情報を取得してネットにアップロードしている。広告収入でも結構な金額を稼いでいることだろう。まあ、それはいいのだ。
そこには、あの爆弾が落ちた日、日本から数十機ものプライベートジェット機が一斉に飛び立つ様子が記録されていた。示しあわせたように、爆発の2時間前。出来すぎている。おかしいだろ。
自分で飛行機を所有しているような金持ちが、核爆発の2時間前にその情報をつかみ、どこかに一斉に逃げたとしたら、そこはどこだと思う?
俺はさ、なんか、すっげぇ核シェルターなんかがあって、皆そこに逃げたんじゃないかと思った。
ロシアがワグネルに攻められた時も金持ちや資産家はテレビで報道されるよりもずっと前に逃げ出していた。
彼らは知っていた。
金持ちには独自のコミュニティーがあって、いち早く情報を掴んでいるのだ。人よりも早く情報を得ている。だから金を持っている。
金持ちじゃない俺達が放射線にさらされる中、彼らはどういきているのか。
知りたいじゃないか。当面の目標はそのシェルターを探して見つけることにしようと思う。
俺は設計をやる。だから、シェルターに必要な条件もある程度わかる。
そりゃあ、地震や災害の多い日本にシェルターは作れんわな。
そうか、海外か。
待ってろ。絶対にいってドアを開けてやる。
別に恨みとかじゃないよ。だって面白そうじゃん。なんか、この世界を作った神様が、何かを見つけてほしくてメッセージを散りばめたみたいだと思わないか?
ゲーム脳だから、そういうのめっちゃワクワクするのよ!!!だってその方が楽しいし。
プレーヤーから絶対に見えないステージの、さらに向こう側に制作者の等身大パネルがあったりさ、そういうのを見ながら育った世代だから、めっちゃ好き。
こういうのをイースターエッグっていうんだ。世界で初めて実装されたそれは、目に見えないキーを探し当てた人だけが、見ることができるものだった。それは作者の名前。誰も気にしない。目に見えない。でも知ってほしかったんだ。
ワクワクしちゃって浮き足立つ。
まるで現代の宝箱だ。
まずはそのために食料の備蓄をして、つてを作らないといけない。やることはいっぱいだ。
ねぇ、誰か一緒に行く? たぶん一人じゃ戦利品を運べやしない。




