【7】ゆっくり飯も食わせてもらえねぇ。
「あ゛〜、、、。」
私は質問攻めの固有結界から脱出、いや抜け出したというか適当に理由をつけて待たせているだけなので実質平行線に近いのだが、、、。
「おう,お疲れさん。」
グルドさんは皿を一つ私へ渡してくる。皿の上には肉と野菜が適当に盛り付けられており、彼の性格をそのまま表したような形だ。
「どうも,」
正直あなたのせいですよって言いたい気分だ。しかしそれは逆恨み、なので黙って皿の上にあったフォークで肉を刺し
(上品に食べるか,)
っと心の中で思いながら上品風に食べる。これといってわからないが。
「うまいか?」
グルドさんが聞いてくるので改めて味を噛み締める。そういえばこの世界に来てあまり料理について関心は抱いていない、社畜時代ですら、ってこの話はやめよう。
肝心の味(肉)の方だが、うん。まぁ美味しいのだが、うん。なんだろう、、、うん。、、、、、、、、
「美味しい肉ですね。」
「嘘つけ,顔が美味そうじゃ無いぞ。」
私の演技力の無さか、はたまた本当に残念だったのか,グルドさんの的確なツッコミが普通に刺さる。そしてきっと考えている顔をしていたせいで渋々した表情になっているに違いない。
「、お前は前世どんなもん食ってたんだよ」
グルドさんがニヤつきながら聞いてくる。そして頭を捻りながらなんとか前世の記憶を思い出す。コンビニ弁当って言ってもわからないから、、
「、、えっと。非常食、もしくは食べない時なんてのもありましたね、なんでご飯の味なんか、、ァハハ。」
少し頭の中に入ってきた社畜人生の記憶がダメージを与えてくる、少し暗い表情になってしまった。
「、、すまん。俺が悪かった。」
グルドさんはおそらく前世の暮らしについては知らないが、私の表情を見る限りで察してくれたことがわかる。
「いえいえ、まぁそのせい、なんですかね?。なんか美味しいおいしく無いの概念が、、。」
そんなに無いんだよなぁこれが。
「なるほどな,ま。今世ならうまいもんは結構食える。ぼちぼちだな、」
「そうですねぇ。」
私は野菜を口へ運ぶ、シャキシャキした食感が口に広がる、緑色で普通に野菜だと思って食ったが、なんていう名前の野菜なんだろう。
さっきの肉も、、、ここら辺もぼちぼちなのだろうか。
食感で、これは豚っぽい、これは牛っぽいとか前世はぁ〜〜〜、、わかってた筈なんだが、女神に蹴られたせいでその感覚も失われたようだ。だからさっき口にしたやつは初めての食感。
そして失われた記憶が蘇るなんて展開は期待しないでおこう。
「美味しい。」
今はゆっくり、心ゆくまで料理の味を楽しもう。っと思った時。
「失礼、ライフ様でいらっしゃいますね。」
「は、はい。」
一人の若々しいメガネをかけた美男性が声をかけてきた。あれっこの人って王様の横に立っていた。
「我が王が直々にお呼びとのことでしたので、少々お時間をいただいても宜しいでしょうか。」
私はスッとグルドさんの方を見る。するとグルドさんは
「仕方ねぇ、持っててやるよ。」
っと言って私からお皿を取り上げて行った。違うグルドさん,私は「この状況どうしよう」っていう目で見たんであって,「このお皿どうしよう」という目で見たんじゃない。
先ほどの食事の会話が仇となったところで、もう一度、美男性を見る。ニコッと微笑んできてとても眩しいです。そして只者感が半端ないと同時にわかりましたわ私。
これ絶対、何がなんでも連れていかれるパターンですわこれ。だって背後に王の圧力ぅがかかっている気がしてなりませんもの。
「はい。」
いと簡単に陥落、即落ちである。いや別にこの美男性に惚れたとかそういう薄い本の話ではなく。
ま、兎にも角にも私は連行、、もとい同行し,別の部屋に連れて行かれた。
ガチャ
美男性が扉を開け、私を部屋の中へ案内する。
そこに待っていたのは、
「やぁ。」
長椅子に座って手を軽く振る王様だった。その風格に私はどう反応したものか,その場に立ち尽くすのみだった。
「こちらにお座りください。」
王様の対方向にある椅子へ美男性が案内する。ガチャっと扉が閉まる音が聞こえた気がするが,目の前の驚きのせいで全くもって気が向けない。
「、、、」
私はとりあえず椅子に座り、紅茶を啜る国王を前に止まり尽くす。呼んだのはそちらなのだからこちらは何も言わないのが鉄則なのか,それともこっちが喋りかけるのを待っているのか?
、、、こういう時は少しずるいが《心境看破》。
(、、、心読まれてるかな?。)
「げっ!?」
思わぬ回答に私は素でげっ、と変な声を漏らしてしまう。
「王よ、遊ぶのは程々にしておいてください。」
あっ殺気。この美男性さんかなり怒ってらっしゃるのがすごくわかる。そして王よ顔色が露骨に変わりすぎですぞ。
「ごほん!。あ〜すまない少々気持ち悪い思いをさせたね。私は相手が次使うスキルの名称がわかる能力があってね。それでー、」
「ごたくはいいのでささっと本題へ移ったほうがよろしいのでは?」
またもや強烈な殺気、王様がビビー!っと体全身を震わせているのがわかる。
「そ、そうだね。、、、では面倒臭いので単刀直入に言おう。」
この時私は
(王様が面倒とか言っちゃダメでしょ)
っとすごく思った。
「君は私、いや俺と同じ日本人かな?」
「、、、、いいえとは言えないでしょう。というか、そちらも日本人でしたんですね。」
私はなんだか強張って言ってしまった。
「、、、あー!!よかったー!久しぶりの落ち着きダァァァ!!!!!!!」
あまりに大きな声、いや歓声に私はびっくりした。
「いやー!俺一人でこの世界に送り込まれたもんだからなんだか生きた心地しなくて、。」
「、そですか。まぁ、私もなんだか正直ホッとしました。」
これは本当だ。まぁ第一心細いと訳じゃなかったが,,,
「ハァ〜、いざこうなるとわかってもなんだか話すことが思いつかないなぁ〜。俺と特別知人というわけじゃ無いし。」
「、、そうですねぇ。」
それもそうなのだ、第一同じ同郷の人だからと言って日本人というのは遠慮しがちな都合上中々に語り合えない、ぎこちない友達作りと同じだ。
「ところでやっぱりそっちは転生?であってるのかな?」
「えぇ,あってますよ。一度死んで、そこから転生、ま。前世の死因は過労死だったんで。」
本当に馬鹿げた前世だったこと,社会の歯車と成り果てて結果、歯車が交換される結果だけ。
「そうですか、ご愁傷様です。」
「いやいや,くだらないもんでしたので、それに今世では倍楽しむつもりですし。」
そこからの話は盛り上がっていった、王様は高校生のという中途半端なところで召喚され,勇者となった。陰キャでもなく陽キャでも無い普通の学生で受験が終わったばっかりで大学の準備途中だったらしい、そんな目の前まで来た大学生活はなくなり、結果戦う羽目,チートがそれなりにあったため悪戦苦闘しながら魔王を討伐,そこからはエンディングルートかと思いきや,王政がバカ忙しくてこれまた休めないらしい。
ラノベとは違うんだなとすんごい思った。
「今回のグランドの件、こっちがやっておきますよ。、そして褒賞の件。、、、、
お前も貴族にならないか?」
王様は見事な顔芸とポージングを決め,勧誘する。
「いやです!!!!!!」
そしてそれに敬意は表するが首を縦に振るかどうかはまた別の話である。




