白虎の巫女の祈り
◇この詩は、ありま氷炎様主催企画の『第七回春節企画』参加作品です……
禊をして
わたしは祈る
この地方には
白虎様を祀る神社が多数ある
わたしの家系は代々白虎様に仕えた
巫女の家系だ
わたしは祈る
冴えざえとした空気の中
祈る
すると
わたしの周りに
蛍の様な灯りが明滅し始める
瞼を閉じた状態でも分かる
あともう少し……!
わたしは祈りの文言にさらに力を込める
「白虎様、お願い致します。西の地方により豊かな実りを、幸を、祝福を!」
わたしの体から光が放たれる
それは天に昇っていった……
祈りが白虎様に届いた証だった
わたしは神社のお社の床に倒れる
そして微かな息で微笑む
嗚呼、これでわたしのお役目は終わった……
これで、この地方は……
パタリ
わたしの手が静かに床に……
暫く後
冷たくなっていく巫女に光が集まり始めた
その傍らにも光が集まり始める
それは長身の男性の形となった
白虎の化身だった
物言わぬ姿になった巫女を見遣り
白虎の化身の男性は
そっとその長い髪を撫でた……
その日の明け方
その西の地方には
悲壮な虎に似た動物の
咆哮が響き渡ったという……
お読み下さり、本当にありがとうございました……。
また、この企画を主催してくださった、ありま氷炎様に深く感謝をこの場で申し上げます……。