第5話 球速と立ち上がり
四番の諏訪亜澄は凡退に終わり、一回裏の守備が始まる。
ピッチャーの豊川黒絵は上背があり、165センチの巧を優に超えている。
「180センチくらいか……?」
バレー部やバスケットボール部に入っても活躍できそうな彼女は、どこか動きがぎこちなく、素人らしさが感じられる。
それでもすでに100キロを超えるスピードボールを誇る。もし素人であれば十分過ぎる球だ。
プロ女子野球の最速は140キロ程度、平均でも120キロ前後ということを考えると、球速においてはプロ一歩手前のレベルだ。
ただ、残念なことにボールのキレが足りないという点もある。
成長次第では良い投手になるだろう。
初球。内角へのストレート。ストライクとなった投球だが、相手はのけぞった。
ここまでのスピードボールはいてもおかしくないレベルだが、動きのぎこちなさには合わない球速に驚いているのだろう。
「珠姫さん。豊川の最高球速わかりますか?」
巧は隣でスコアを取っているマネージャー、本田珠姫に声をかける。彼女はスコアを取りながら答えた。
「うちにあるスピードガン誤差あるから正確じゃないけど、確かそのときは108キロとか出たからだいたい100キロ台後半くらいかな?」
「……なるほど」
スピードガンに誤差があるのはいかがなものかとと思うが、目安がわかるだけまだマシだと思おう。
強豪と呼ばれた時代から遠のいているため、買い換える予算がないのかもしれない。
もしかしたら、その時代のスピードガンを使っているのかもしれない。
ただ、その言われた球速以上にも感じる球に、そのスピードガンが誤差だったのかという疑いさえ感じている。
黒絵は二球目もストレート。外角への球だ。
甘いコースではあるが、相手バッターはそれを見逃した。
スピードボールに判断がつかないのかもしれない。
そして追い込んだ三球目もストレート。今度は高めの球に相手バッターは空振り。三振に切った。
球速のあるストレートが魅力的な黒絵。しかし、問題があるとすれば、ストレートしか投げれないところだ。
そしてコントロールは大雑把で、リードをしている司もリードとは呼べないほどのリードをしている。
高めや低め、内角や外角といった程度だ。
ストレートに球速がある反面、コントロールが悪くストレートしか投げられない。今のままでこれから三年間戦っていくことは難しいだろうが、伸び代はあるため今後の成長は楽しみなピッチャーだ。
黒絵の球に慣れていない相手バッターは次々と三振に倒れ、初回は三者凡退と上々の立ち上がりだった。
前話に引き続き短いです。
後々の展開までいかないとそもそも話が始まらないので早めにこの試合終わらせます!
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