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第4話 役割と最低限

久しぶりに時間が取れたので投稿しました!

短いですが、あくまでもまだ導入部分なので……(笑)

今後も投稿できるように努力します!

 一回裏、伊澄の出塁から続く二番打者は黒瀬白雪。


 巧の見立て通りであれば、伊澄の予想通り白雪は粘っている。三球目に来た甘い球を打ち損じファウルとなったが、基本的には見ていくスタイルだ。時には早打ちも必要だが、今回に限っては白雪の慎重さは非常に良いバッティングと言える。


 そして今はボール、ストライク、ファウル、ボール、ファウルと五球を投げさせて、ツーボールツーストライク。追い込まれているとはいえ、相手ピッチャーもそこまで余裕があるカウントではない。


 サインは『自由に打て』。理想はヒットだが進塁打やフォアボールでもネクストバッターズサークルには大星夜空だ。


 六球目もファウル。レフト線への良い当たりだったが、打ち損じている。


「この辺が改善点かなぁ」


 当てる技術はありそうだが、甘い球でもフェアゾーンに落とせないところがもったいないと感じる。


 プレーを見る限り、どちらかといえば中学時代は守備に力を入れていたのかもしれない。


 七球目に捕らえたボールは一、二塁間への鋭い打球。しかし、バントを警戒していた守備位置だったため、一塁へのベースカバーに入るために一塁寄りに守っていたセカンドが打球に追いつき、残念ながら進塁打に終わった。


「ナイス進塁打」


 アウトになって戻ってきた白雪に巧は声をかける。


「最低限……かな?」


「球数も見たし、最低限でも十分だよ」


 二番打者としては最低限。一番として起用していても球数を稼ぐことができるため、ヒットを打てるようになれば一番での起用もありだ。もちろん白雪以上の適任者がいれば下位打線の起用となるが、それでも嫌な打者になる。これから成長し、起用していくのであれば上位打線でも下位打線でも打たせられる。


 そんなことを巧は考えるが、今後の起用は巧がどうこうできるわけではない。巧が監督をするのはこの試合限りだから。


 三番打者の夜空は間違えなく明鈴高校の中で一番期待ができる打者だ。中学時代は県内でも女子選手総合力ナンバーワンと言われていた選手で、全国を見ても女子のUー15ではレギュラーを獲得するほどだ。


 相手も警戒し、外野は深く守っている。最も、グラウンド自体のライト側は元々外野が浅く、レフト側は深いため極端な守備シフトとなっている。


「ホームランでもいいですよ」


 ライト側であれば浅いため、左打者の夜空はホームランを狙える。現に今までの二年間で何十本とホームランを放っているということは巧も聞いている。


「理想が高いなぁ」


 苦笑いをしながら打席に向かう夜空。「狙ってはみるよ」と軽い感じで言っている。


 初球。ピッチャーの指先から放たれたボールは緩い軌道で夜空の手元に食い込んでくる。スライダーかカーブだろう。

 夜空はその球に反応し、体を思いっきり捻り全体重を乗せてバットを振り抜く。

 バットに当たり反発したボールはライト側への大飛球。相手選手は全員、宙に舞う白球を注視する。

 打球はライト側に張られたネットまで到達し、ネットを伝って転がり落ちてくる。


「フ、ファウル!」


 打球は残念ながらライト線を割り、ファウルゾーンへの大飛球だった。


「早すぎた!」


 夜空は残念そうに天を仰いだ。

 もう少しタイミングが遅ければホームランとなっていたはずだ。


「やっぱり恐ろしいな」


 巧は冷や汗をかきながら転々と転がるボールを見ている。


 確かに中学時代からの夜空を知っているが、シニアだったため男女混合だ。ヒットを打てる好打のアベレージヒッターだと思っていたが、女子野球となると力負けしないため、パワーヒッターとも言えるのかもしれない。

 それに加えて高校生になって筋力が上がったという考えもできる。


 二球目、今度は縦に滑らかに落ちるスライダーだ。ただ、先ほどのファウルでビビったのかコースを外れ、ボール球となる。


 次の三球目、内角に食い込んでくるストレートだ。夜空は反応したものの、打ちづらそうにバットを振り抜く。

 鈍い金属音とともに今度はレフト側への大飛球だ。

 相手レフトは後退し、難なく捕球する。しかし、元々下がっていた上にさらに後退したレフトが捕球したのを見るや、サードランナーの伊澄はタッチアップ。一点を先制した。


「やられたぁ……」


 戻ってくる夜空がうなだれている。遅い球が続いてからのストレートに少しタイミングが合わなかったようだ。


 しかし、差し込まれたとはいえ元々広いレフト側の後退した選手がさらに下がった捕球していることを考えると、狭い球場なら或いは……ということを考え、巧は夜空の末恐ろしさに息を呑んでいた。

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