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引きこもり体験記

作者: ピョンス



俺が経験した引きこもりの記録をここに記す。

他人の類似経験は全く知らないし、比較もしない。





部屋に引きこもっていたときを例えるなら『現実で見る夢』に近い。


自分の意思に反した行動しかとれず、全く違うナニカにずっと体を支配されていた。終わってみると時間をただただ浪費しただけの空虚な感覚が残る。

まるで昼寝をして変な夢を見て1日を無駄に過ごしたのと同じだ。



あのときは他人が怖かった、外が怖かった。自分に刺激を与える何もかもに怯え外界との接触を断絶していった。カーテンを閉め外の情報を遮断し、音が聞こえないように枕に顔を埋めて布団の暖かみに安心した。携帯にメッセージが来てもことごとく無視した。



独り暮らしだった。誰も自分を気にかける存在はいなかった。孤独で寂しくて、でも誰にも助けなんて求めなかった。求める選択肢も頭の中には欠片も浮かばなかった。地元の親友や家族ですら恐怖の対象だった。



1日1食のカップ麺を食べていたときだけが自分の生を感じられる瞬間だった。住んでいたアパートの前にカップ麺の自販機があった。深夜の3時あたり誰もいないことを確認しながら犯罪者のようにこそこそと買って、逃げるように部屋に戻った。扉を閉めた瞬間外の世界から守られるようで安心感があった。外は怖いとさらに警戒感が強まった。



よく死生感について考えた。このまま何もせず死ぬのも悪くない、親族に迷惑がかからない死に方はなんだ、どうやって死ねたら楽だろう、なんで人は苦痛の方が多い人生を生きていけるんだ、死んだ後は何が待ち受けているのか。生きることに執着は欠片もなかった。苦痛の待ち受ける未来が絶望に感じた。



心とからだが乖離しすぎて捻切れそうだった。本当は引きこもり何てしたくなかった。他にもっとやりたいことが一杯あった。からだがナニカに支配されてやりたいことを忘れていった。頭が働かず常に思考に靄がかかっていた。ただナニカの操り人形になりさがっていた。









だが、生きている。負けなかった。最後まで諦めなかった。あの日、あの時自分を支配していたナニカをぶち破った。ずっとやりたいことが1つだけあった。才能の前に打ちのめされ挫折した元凶だったが、どれだけ心が捻切れそうでも理性はそれをやりたがっていた。ただの勉強だ。それを死ぬほどやりたかった。それだけが俺の生をつなぎ止めていた。



依存症だった。昔からナニカに依存しやすい体質だった。今も再発に怯えている。依存しやすい原因は生活からことごとく排除した。


まだ戦いは終わっていない。

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