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熱血教師過去物語

私立相馬学園の教師である、外川隆平。

今でこそ教師という職についているが、その昔は本当に荒れていた。

こんな青年が、何故教師になることが出来たのか。

今回はそのことについて語って行くことにしよう。














熱血教師過去物語


主演・語り手:外川隆平














あれは俺が高校生の時の話だった。

当時の俺は、自分で言うのも難だが、かなり荒れていた。

周りからの手を、すべて受け付けなかった。

慣れ合うのが嫌だったのだ。

自分でも驚くほど、人間と言う生き物に対して反感を持っていたのだ。

だから、俺は人と深く関わるのを、やめていた。

家族にも、本当の自分の心を打ち明かさずに、ただ他人同様の扱いをしてきた。

そんな俺の周りからは、人がいなかった。

家族でさえ、家族なんて殻を破ってしまえば、所詮他人でしかないと思っていた。

けど、そんな俺のねじ曲がった性格を、一から根本的に変えてくれた人がいた。

その人がいなければ、俺は今頃こうして教師をやっていないだろう。

俺はその人に感謝している……今はどこにいるのか知らないけど。


「うるせぇな……黙ってろって言ってんだろ」


最初こそ、俺はその教師に対して反感を持っていた。

だから、礼儀なんてものは知らない。

敬語なんて、もってのほか。

それにも関わらず、


「はいはい。そうやって言っておいて、実はかまって欲しいだけなんですよね?」

「はぁ!?」


その教師は、俺に対してそんなことを言ってきたのだ。


「んなわけねぇだろ。どうしてお前なんかに……」

「はいはい。それじゃあ授業を続けますよ」

「話を聞けっての!」


まったくもって、俺の言葉を流すのがうまかった。

……俺のことを、そこまで分かってくれていた、といってもいいのかもしれない。

だが、そのことに気づいたのには、あまりにも遅すぎた時だった。














俺がちょっとした油断をしてしまい。

喧嘩していた連中に、ボコボコにされていたその時だった。


「あなた達……何してるの!!」


その教師が、俺達の所まで歩み寄って来る。

あんたが来た所で、無意味なのは理解出来るだろ。

なのに……どうしてあんたは、こんな所にまで来るんだよ。


「あん?……って、若い女じゃねえか!」

「これはイケルぜ!!」

「あがってきた!上がって来たぁああああああああああああああああああああああ!!」


興奮する野郎共。

畜生……俺の体が言うことを聞いてさえくれれば、こんな奴ら、ひとたまりもないのに。


「自分達がやってること、恥ずかしいとは思わないの?」

「思わないねぇ。だって、ぶつかって来たのはこいつだし」

「謝りもしないんだぜ?そんな礼儀知らずの為に、お仕置きしてやったってわけよ!」

「……」


何も言い返さない。

不良達って言うのは、こういう時に限って正論を持って来る。

……やってることはあまりに理不尽だが。

だが、その教師は、反抗のまなざしをやめなかった。


「いい加減にしなさいよ、あなた達……」

「あん?」

「いい加減にしなさいって言ってるのよ!!」

「!?」


突如叫ぶ。

否、叱る。

どうして……こいつらに対して何の抵抗もないのか?

そして何より……どうして俺のことをそこまで構う?


「外川君は、私の大切な教え子よ!だから、その子を返しなさい!!」

「教え子?まさかあんた……教師か!?」

「最高だ!若い女性教師なんて……今夜はいい収穫を得たぜ!!」

「そうでもないわよ?」

「はぁ?」



(ブゥン!)



「ぐはっ!」

「……え?」


一瞬、何が起こったのか理解出来なかった。

いやいや、ありえないって。

この人が、こいつらのうちの……恐らくはリーダー格に値する奴をぶん投げたなんて。


「……こういうことよ」

「り、リーダーが、一投げ……」


不敵な笑みを浮かべ、その教師は男達に近づく。

……すげぇ。

初めて人が、強い生き物なんだって……いや、強い人もいるんだなって思えた。

この人になら、関わってもいいかなって思える自分がいた。


「まだ、投げられたいかしら?」

「す、すみませんでした!!」



(ダッ!)



男達は一目散に走り去っていく。

そして残されたのは、俺とその教師のみとなっていた。


「……礼なんて言わねぇぞ」

「礼なんていらないわよ。それが目的で助けたわけじゃないしね」

「……でだよ」

「え?」

「何でだよ。何で俺に構うんだよ。俺はこんな奴だぞ。周りから冷たい目で見られて、家族にも相手に

 されなくて……一人でいるような奴に、どうして関わろうと……」

「だからこそ、よ」

「は?」


意味が分からない。

一人でいるような奴は、一人きりにさせておけばいいのに。

周りに関わろうとしない奴には、関わらなければいいのに。


「一人きりでいるのは……寂しいもの。かつて私がそうだったように、一人きりって言うのは、寂しい

 物なのよ。私は、そんな子が……私のような子が生まれないように、教師になったのよ」














その一言が、俺の人生を変えた。















ちょっとしたお知らせです。

私こと、ransu521と、星うさぎさんで、合作小説を書くことが決定致しました!

詳しい話の設定とかはまだ未定ですが、どうか楽しみに待ってていただけると、ransu的にも嬉しいです。

それでは、『Magicians Circle』の方の連載が近づいてきている、ransu521でした。

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