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第十三話 しぼられてみた。

最近テン●を買いました


 起きると妹が全裸だった。

 何を言っているか分からないかもしれないが、更にその妹――スケルトン仕様である。


 ほらベインブレイドみたいなおもちゃのスケルトン色違い仕様とかあったよね、なんか懐かしいよね。

 ブーム最盛期にはメイドインごめんちゃいなパチモンが売られててそれがまたスケルトン仕様でやんの、ですぐ壊れるんだこれが。


 ……いやまぁ、全く今の状況と関係ないんだがつい思い出してしまったわけだ。

 現実を飲み込めていないからこその現実逃避というか、まぁ、その……なんだ。


「ミ、ミユ? その身体はどうしたんだ? 一つ言わせてもらうがな――内臓が透けて見えないのはリアリティに欠けると思うぞ」


 言いたいのはそれじゃない。

 もしかしてついに俺は”ギャルゲースキル”のレベルが上がって、衣服もろとも透視する上に身体を透過して見ることの出来る能力を得たのだろうか。

 いやいやそんなマニアックすぎるだろう、でも内臓が見えないだけまだマニアック度は落ちているのかもし――


「というかミユ? ミユなのか? いや、確かにミユの容姿ではあるがうおおおおおおおおおお?」

『きゅるきゅる』

「そ、その声は――スラスラなのかああああああああああああ!?」


 どうしてこうなったのか、そして今俺がどうなっているのか。

 それについて回想も交えてちょっと話そうと思う。



* *



 俺とミユの兄妹はなし崩し的にミサさんの宿に仮住まいのようなことをさせてもらっている。

 そして俺はと言えば朝から昼か夕方までバイトをし、昼を過ぎた頃やオフな日はそこらへんの岩を砕いて経験値獲得に勤しんでいる。

 ちなみに色々やっていて気付いたのだが雑草を抜いたりゴミを片付けたりするだけで経験値がもらえる、この世界の経験値システム良く分かんねえ。


 スラスラが仲間になってから特に町の外に出てはいない、というのもミユが「なんか心配だからダメ!」というのだ……最愛の妹ミユに言われてはしょうがない。

 確かにスライム相手に死にかけているのだからミユの言い分はよくわかる、しかし自分が弱すぎて俺もう魔王のもとにたどり着ける気がしなくなってきた。



 それはともかく。

 ちなみに俺が働きに出ていたり、経験値稼ぎの為の近所のゴミ拾いなどをやっている間ミユは基本は宿にいるようだった。

 それ以外はウインドウショッピングに繰り出しているとは聞いているが、それ以外にも出かけているように見え、ミユはどこに行っているのだろうか。


 それもステータス画面を見ればわかるのでは? と思われるかもしれないが、別にこのステータス画面は女の子の心をすべて盗み見出来るわけではない。

 どちらかというと攻略に影響しそうなポイントについて記されているだけで、今日何を食べて今日どこに行ったかを知ることは叶わないのだ。

 更に俺の読めるバックログに関しても、あくまで自分が近くにいてその子を認識している場合知ることが出来るのであって、遠くにいる子のことを遠隔的に知ることは出来ない。

 絶妙なさじ加減なのかもしれないが、プライバシーをすべて侵すことのないようにこの能力は出来ているらしい……たぶん。 


 そんな俺たち兄妹の生活サイクルはというと――

 朝食を二人で外食し食べ、俺は働きにミユは宿に戻る。

 夕方までバイトの場合は宿に帰って来て夕食を食べにミユとまた外食、そしてお風呂のち宿に帰って来ておやすみ。


 いちおう宿屋には水浴び場があるものの、確かに開放的ではあるものの風邪をひいてしまいそうな偏見があり使っていない。

 そしてこの町にはいくつか大衆浴場が作られている、日本人転生者が提案したのかもしれない銭湯風の大衆浴場もあり、異世界人も気兼ねなく利用しているあたり湯船に浸かる文化はこの町に根付いているようだった。

 もちろん浴場は男女ちゃんと別れている……正直混浴だったらどうしたものかと。

 俺は正直ミユとの混浴を――したいとは思わない、だってミユって尊い存在だし、一緒にお湯に浸かったら最後お湯を汲んで来てミユの出汁でご飯を炊いてしまうかもしれない。

 まぁ自分が変態のような行動をしかねないのもそうだが、俺の尊いミユの肢体をどこの馬の骨とも分からん男に見られてしまうのではないかと思うと怒りの炎でご飯が炊ける。

 女性同士ならオッケー、正直ミユがスタイルのいい女性をみてぐぬぬしているのを想像すると萌える、一方で成長を確信出来ればそれはそれでお赤飯が炊ける。



 半分冗談はさておき俺たち兄妹は基本毎日お風呂に入っているのである、そしてミユが「スラスラって女の子なんだよね? なら私が面倒みるから!」とスライムのスラスラを連れて行っている。

 まぁミユがスラスラと戯れている場面を想像すると微笑ましいあまりミユの出汁で炊いたご飯を使ってチャーハンを炒めかねないのだが、その衝動は心に留めておこう。

 ちなみにこの地元食堂で食べられる異世界チャーハンは割とおいしい、一見淡泊だが噛めば噛むほど味がしてくる味わいのマンモス肉を使っている、割とこの世界ではポピュラーな素材らしい。


 ともあれ俺はミユがスラスラを風呂に連れて行っていることは知っていた。

 そして風呂にいけば当然、ミユは脱衣をするわけであり、産まれたままの姿になるのであり。

 ああ、これ以上はこれ以上はご勘弁を。

 ようはスラスラは俺の言葉を少し覚えていたから察するに学習能力も高く、真似もしようとしていたからこそ――スラスラはミユを見ていたのである。



* *



 スラスラはミユの全裸を完コピしてしまったのである。

 ちなみに青透明色の一色成形なので、子供の頃一緒にお風呂に入って見つけた右太ももにあるホクロなどの表現には僅かに隆起させたモールドで対応している。

 よく見れば毛の類も微細なスライム素材のようで、数コンマミリの太さを再現しているその技術力……否スラスラの模倣力には感心せざるを得ない。

 と、冷静に分析してる場合じゃなかった。


「や、やめるんだスラスラ!」

『ぷるる?』 


 そうして『どうして?』と首を傾げるスラスラ、スライム語に翻訳しないとスラスラの言葉は分かっても俺の言葉はちゃんと伝わってる気がしない。

 

「というか、その――これをどこで学んだんだ!?」

『ブロロロロロロ』

「なん……だと?」


 伝わってるっぽい。

 スラスラ曰く『エロ本をみた!』とのこと、しかし俺氏はエロ本を持っていない。

 いや隣にミユがいるし、正直俺はそれで心が満たされているというか――そういった欲望で発散する必要がないんだよな。

 …………正確には同じ部屋でそんな致すことなんて出来ないという話であり、実はミユが夜な夜な――していることにムラムラ来ていないといえば嘘になるのだが。

 

「俺はそんな本持ってないはずだが」 

『みゅ』


 ミユが持ってるんかーい。

 ……そうしてスラスラがミユスケルトンボディを触手のように伸ばすとベッド下からあら不思議、なんともエロティックな本が出てきたではありませんか。

 そういうのお兄ちゃん感心しませんよ。


『ブルブル』

「家で四六時中読んでるだってぇ!?」


 なんてことだ、俺の愛する妹は知らぬ間にエロ本を買い込んで家に一人で籠っている間は四六時中読んでいるような極めてハレンチな子に育っているなんて!

 けしからん、けしからんが! ――ちょっとエロい妹もいいよね!


「つまりそれを……スラスラも見たのか?」

『ぷる』

「いや、それでもなスラスラ――」


 そう、今の俺の状況について説明しよう。

 

 バイト上がりに帰ってきたら宿にはミユの姿はなく、どこかに出かけている様子だった。

 夕飯は一緒に食べに行くと家族契約的なことがあり、俺は部屋でミユを待っている間に寝落ちしてしまったらしい。

 そして俺が昼寝ならぬ夜寝をしている矢先のこと、だったのだ。


 俺はベッドに寝ていて、上半身は普段着のまま――そして下半身だけが脱がされて俺のマグナムが露出していた。

 そんなマグナムが今は――


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

『うまうま』


 スラスラに食われている――性的な意味で。

 そう、スラスラはそんなエロ本の状況を模倣しているのだった。


 独特のひんやり感の中でこのきゅうきゅうと締め上げて来る感じは確実に名作……ナニがとは言いませんよ。

 まぁでも端的に言うならば――


「スラスラマジでやばいやばいやばいやばい――あっ」

『ごち』


 そういえばペットショップの店員がスライムはゼリー状のものを好むとか言ってたっけ……等ということを思い出しながら。

 俺はスラスラという可愛くもモンスターの仲間相手にDT卒業を果たすのだった。


 ……異種との間に子供って出来るんだろうか。

あれ?これナントカ解放区でしたっけ?

と書いてて思う作者でした

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