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第十二話 強くなっちゃった。<ミユ視点>

 気づくと私が立っていたのは森の中で。

 ……なんだか雰囲気的には現代という感じがしないだけに、辺りを見渡すと――


「ユウ兄!?」


 私の隣にはユウ兄が立っていた、どういうこと!?

 私は確か女神さまによって現代に蔓延る悪を倒すべく、最強魔術師となって無双……するはずだった。

 それがどういうわけか現代には見えない場所で隣にはユウ兄がいる、これは夢なんじゃないかな!?


「ユウ兄だよね? ユウ兄だよ! ねえ、ユウ兄!」


 しかし隣のユウ兄は私に見向きもしない。

 あれ? 私ちゃんと喋ってるよね? ……あ、こっち向いた。


「おーい! ユウ兄!」


 私を見つめているのに、まるで答えようとしない……私をスルーするドッキリかな?

 んー、でもそれはあんまり面白くないかもしれないよユウ兄。

 だってそんなことされたら寂しいし、悲しいし、辛いし……なんでそんなことするんだろ?

 いやでもまさか、ユウ兄は転生したことで耳が……ううんそんなこと認められないよ、私の声を聞いてくれないなんて――許されないよ。


 するとユウ兄は突然目の前の空間を指でなぞっていて…………本当に何してるのかな!?


「ちょっと!!! 聞いてる!!??」

「わっ」


 !!! 

 転生はじめて、初ユウ兄の声……なんだかちょっと感動!

 そっか、こういう趣向で私をドキっとさせる為のドッキリだったんだ…………でもちょっと趣味が悪いなあ!


「ユウ兄!」

「あー、聞こえる聞こえる」

「聞こえてるならちゃんと返事してよね! ……もしかして耳が聞こえないのかと思って不安になったんだから!」


 だんだん本当にそう思えてきて不安だったんだから、やめてほしいなぁ。


「悪い悪い、なんか音量設定がゼロになってた」

「音量設定……?」

「なんかこう、視界の端に歯車とか浮いてたりしない?」

「……?」


 ……いきなり何言ってるんだろう、ユウ兄。

 でもこうミステリアスなお兄ちゃんもいいよね!


「それよりユウ兄どゆこと!? 私がギャルゲーのサブキャラクターで、ユウ兄はギャルゲーの主人公だってことは分かったけど! ”現代に転生して魔法無双”する願いを女神”アイシア”に伝えたと思ったら、話してもらった世界と違うとこに転生してるんだけど!?」


 内心ではちょっとデレデレな私だけど、基本的にユウ兄へのあたりは強いつもりだ。

 だって私が――ユウ兄大好きなこととかバレたらちょー恥ずかしいし……。


「多分俺のせいだな」

「なんでよ!」

「女神オルリスに願いを聞かれたから欲しいものは”じゃあ妹で”って言ったからこうなったんだろうな」

「なっ!?」


 なっ……! 

 そんなユウ兄が私を……私が欲しいって……!?

 

 じゃあもらって!!!


「ほ、ほんとに? なんかすごい力とか貰ってたりしないの?」

「ないんだなそれが」

  

 ということは私以外のすべてを捨てて、私だけを――

 お兄ちゃん!!!!!!!!!!!!!!!! 大好き!!!!!!!!!!!!!!!! 結婚して!!!!!!!!!!!!!!


 ……落ち着こう、これじゃボロが出ちゃうし。

 ということは私が現代に転生するより先に、ユウ兄が願ったことで私がユウ兄のもとに召喚されたってことなんだ、すきすきすきすき!


「ふ、ふーん……ほかのどんなものより私だったんだ……へー」

「そういうミユは横やりで転生させちまったけど、もらった特典の方はどうなってるんだ?」

「これ」

「これ?」


 そうそう、なんか私がこの世界に来た時に手に持っていたおもちゃのステッキ。

 昔好きな魔法少女アニメで主人公が使っていたステッキだったかな……今思い出すまで忘れてたんだけど。


「……そうか、懐かしむ為に欲しかったんだな」

「違うもん! 魔法無双したいって願ったらこれを手に持ってたんだもん!」


 こ、こんな子供っぽい趣味って思って欲しくないし!!!

 それに魔法無双したいのに、もらったのがこのステッキって……ちょっとバカにされてる気がする。

  

「なら試しにそのボタン押してみたらどうだ?」

「え? うーん、そうだなあ……じゃあ”エクスプロージョン”」


 そんなアニメで見た、ドカーンと爆発する魔法の名前。

 ちょっとだけポーズを決めつつおもちゃのステッキのボタンを押しながら、なんとなくの魔法名を呟くと――



 一瞬にして目の前の森が消え去った。



 いやいや、軽く町ぐらいの規模が爆発して消えたんだけど!?

 そして森があった場所には大きくクレーターが開いていて、未だに底には炎が燻っていて……これ、これ!?


「お前……」

「ま、魔法無双出来ちゃうみたい?」


 何故か私は最愛の兄と一緒に過ごせる上に、強い魔術師になれちゃったみたいで――


 こうしてちょっと強い魔術師の私と、私がいないと死んじゃいそうで怖いから一生一緒にいないといけないようなお兄ちゃん、ユウ兄との――

 異世界冒険譚が幕を開けるかもしれないし、開けないかもしれない!

 正直ユウ兄と一緒にいれるなら、割とどうでもいい!

とりあえず連日更新はここまで。


気まぐれ投稿に切り替えていきますー。

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