7 偽りの気持ち
会社が手配していたホテルの部屋は一つ。フロントで他に空いている部屋はないかと聞いたけど、あいにく今日は満室だと言われてしまった。仕方なく部屋へと向かう。
もともと男2人の出張だったのだ。だから一部屋しかとっていなかったのだろう。そんなことを思いながら部屋に入り荷物を置くと、すぐに部屋をでた。
近くの郷土料理のおいしい店だと紹介されたところで、課長と夕食を食べた。
部屋に戻ると先にお風呂を勧められた。着替えとパジャマ・・・を、忘れてきたことに気がついた。仕方がないから部屋に備え付けの浴衣を持ってお風呂に入った。落ち着かなくて、サッとシャワーを浴びて出た。
入れ違いに課長がお風呂に入った。私は髪をタオルで包むと先に基礎化粧をちゃんとした。それから髪をタオルで拭いて水分を取る。
気がついた時には背中から課長の腕の中に抱きしめられていた。そして苦し気な声で愛を囁かれた。
私は課長の手に手を掛けると、そっと外した。
そして課長の顔を見ながら、私は拒絶の言葉を言った。そのまま課長に背を向けてサッサとベッドに潜り込んだ。
心の底では彼に抱きしめられたのが嬉しくて、またキスをしたいと思っていて、もう一度抱かれたいと思っていたのだとしても。
でも、出来ることなら強引にでも奪って欲しい。あの夏の激情を感じさせて欲しい。
そんな密かな願いは彼に届くわけがなかった。
ベッドの中で背を向けて目を閉じて、でも全身の神経は課長の動向を伺っていた。
諦めたかのように隣のベッドに課長が潜り込み、課長の寝息が聞こえてきた時には、内心私は落胆していたのだった。