4 幸せの知らせ
私は届いた手紙に目を瞬かせた。どう見ても結婚式の招待状だ。裏に返して名前を見て驚いた。
案内状を凝視している私に、彼が「どうした」と声を掛けてきた。私は微笑みながら案内を彼に渡した。内容に目を通した彼が微笑んできた。
差出人は幼馴染みの彼と私の妹。
そう。二人が結婚をするというのだ。それもひと月後に。
案内状の中に二人からの手紙も入っていた。結婚を決めた経緯が書いてあったの。私はその内容に安堵した。
実は2歳下の妹は幼馴染みの彼のことを好きだったのだ。私はそれを知っていたけど、自分の立場を思い、妹の気持ちに気がつかないふりをしていたの。
二人にとっての障害は私だ。私が家を出れば、その障害はなくなるわけだ。
だからこうしてうまくいってくれたのがとても嬉しかった。
彼がそっと私を抱きしめてきた。手はお腹に添えられている。
今、私のお腹には新しい命が宿っている。もうすぐ8カ月になる。
仕事は・・・移動してそうそうだったけど、辞めてしまった。妊娠がわかると共に酷いつわりで、仕事が出来ない状態になったからだ。義母はもちろん、実母も具合が悪い私を心配して駆けつけてくれた。
なんかなし崩し的に和解してしまったけど、お腹の子のためにもどちらの祖父母とも会えるのはいいことだろう。
私達は式は挙げなかった。というよりも挙げれなかったという方が正しいだろう。それだけつわりが酷かったのだ。今は私の体調は落ち着ているのだけど。
ひと月後の式で妹達に会えるのが楽しみだと、夫に笑いかけたのだった。
後日談もお読みいただきありがとうございました。




