3 人事移動
結局何があったのか問い詰められて、観念した私が簡単にだけど、話してしまった。女性陣は略奪愛と騒ぎ、男性陣は7年越しの思いに尊敬の眼差しを向けていた。
それでも両思いで良かったと、皆に祝福をされたのでした。
週明けの月曜日。朝、部長から人事異動の発表があった。今月末で課長が本社に戻ることと、私の本社への移動についてだった。
課長の異動は分かっていたことだったので、比較的あっさりと受け入れられた。
それよりも私の異動に開発部の皆は異議を唱えた。曰く、誰がデータまとめをするのかと! これについては、あと3週間の間に専任の人間を作るしかなかった。
でも、これもあっさりと解決した。虫垂炎になった彼が、データ管理をしたいと申し出てきたのだ。なので、彼に引継ぎをしながら引っ越しの準備を進めていった。
そう云っても仮の住まいなのは分かっていたので、私達はあまり荷物を増やさないようにしていたの。
ただ、心残りは母と和解できなかったこと。他の家族や幼馴染みの家族も、わだかまりはあるのだろうけど、思ったよりもあっさりと彼との結婚を祝福してくれた。
幼馴染みの彼とも話をした。彼も流されるままにいたことを、悔いていると言っていた。私達はお互いを見ていなかったとも。近くにいたからなのか、先祖の悲願という言葉に酔っていただけかもしれないと、彼は笑って言ってくれた。
その穏やかな笑顔にツキリと胸が痛んだ。




