2 結婚報告
9月になり最初の週末に彼の両親に会いに行った。熱烈大歓迎だったことに驚いた。彼の母親と二人になった時に、こっそりと耳打ちされた。
彼はこの春まで結婚話に見向きもしなかったそう。このままでは一生結婚しなくて、孫の顔を見ることはできないかと思っていたと。
月曜日。私はお昼休みに開発部の女子社員に囲まれてしまった。理由は私の指に輝く指輪。それもエンゲージリングではなくて、マリッジリングだったからだろう。
先週の金曜の就業時間までに何も言っていなかったから、尚更みんなの目を引いたようだ。
それに、どう見ても対になるものを課長がしているものだから、朝から事情を聞きたくて仕方がない様子だった。
私が話す前に課長がそばに来て、結婚報告となった。
その週の金曜日。開発部の皆による祝いの会が開かれた。その席で、課長の私への気持ちがバレバレだったと聞かされた。こちらに来た時から私の事のサーチをしていたらしい。そしてさり気ない牽制もとか。
あの、課長に掴まった日。最初から根回し済みで、二人にされたそうだった。だけど、私本人から幼馴染の許婚がいると聞かされて、撃沈したのだとか。
それだからその後の出張の後に私達の様子を伺っていたけど、甘い雰囲気もデートに行くような様子もなくて課長に望みがないと思っていたとか。
それなのにいきなりの結婚宣言だ。問い詰めたくなるのも人情だろう。




