15 熱を持つもの
今日は彼に先にシャワーを浴びてもらっている。
その彼が出てきたら・・・
私は彼に抱かれるのだろう。
自分のことなのにどこか他人事の様に感じている。
心をどこかに置いて来てしまったかのようだ。
端から見たら、きっと私は馬鹿なことをしているのだろう。幸せを自分の手で投げ捨ててしまったように見えるのだから。
彼との未来はまだ見えない。
というよりも、一月後には戻ってしまう彼と、未来があるとは思えない。
でも自覚をしてしまった気持ちに、もう蓋をすることはできなかった。
気がついたら出てきた彼が私の座るソファーの後ろに立っていた。
ギュッとその胸に抱きしめらる。
「後悔しているのか」と囁かれ「しているわけないじゃない」と答えたら、口づけがふってきた。
私は腕を叩いて抱擁を解いてもらい立ち上がった。シャワーを浴びにいこうと足を踏み出した。
・・・けど、気がついたら体が反転してベッドの上に背中から着地した。
彼は私の上に乗り口づけをしてきた。
餓えた獣のように性急な口づけ。まるで私は自分のものだと印象付けるような支配者のキス。
だけど彼の熱さに煽られて、私の熱も上がっていく。
気がついた時には私もキスを返し、お互いの熱を移しあう事しか考えられなくなっていた。
7年前のあの時の様に、この情熱に落ちていく・・・。




