1 不意の再会
夏企画の参加作品です。
さあ~、激しい恋!
いっきま~す!
気がついたら28歳という微妙な年齢になっていた。新入社員のような初々しさもなく、かといってお局様と言うほどこなれてもいない。そんな中途半端な年齢を持て余す今日この頃。日常は変わりばえもなく過ぎていく。そう思っていた私は、確かにぬるま湯のような日々に身を浸して、毎日を過ごしていたのだろう。
事件が起こったのはゴールデンウィーク明けの月曜日のことだった。会社につくと何となくざわついた雰囲気が漂っていた。理由が判らぬまま自分の部署に行った。
私が所属しているのは商品開発部。そこについた私はざわつきの原因が自分の開発部にあると知らされた。それも私の直属の上司である課長がやらかしてくれたということを。
課長は不倫の末、会社のお金に手を付けたそうだ。そしてゴールデンウィーク中に姿をくらましたという。
この日は仕事にならなかった。本社から人が来て私達、課の人間まで事情を聞かれたりしたのだ。それから開発研究をストップして、データの洗いだし。もしかしたら課長が、他社にそのデータを売り渡すことも考えられるからだ。
そんなこんなで、5月はガタガタバタバタと過ぎていった。
6月に入り空席だったうちの課の課長に、本社から人が送りこまれてきた。まだ若いけど出来る人だそうだ。
その人と会った衝撃は忘れられない。もう二度と会うことはないと思っていた人だったのだから。