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時の流れ

ボーン ボーン ボーン 


聞き覚えの無い時計の音がした。

家にこんな音をだす時計はなかったはずだった。 


 ボーン ボーン ボーン 


それが時間の進む音

数年後 トビーは『黒いピエロの絵本』なんてさっぱり忘れて少年から青年になった。


あれから アニーの捜索は進まず トビーは今では一人っ子


アニーとトビー 

いつも二人で絵本を読んでいたから、絵本はトラウマになりかけたけど絵本はアニーも大好きだったからトビーは絵本をまた読み始めた。


「これはアニーのお気に入り お姫様の絵本 これは恐竜の絵本 僕が大好きな絵本 飛び出す絵本はパパからのプレンゼントだったっけ」


王子様とお姫さまと狼 魔女 たくさんのロマンスに冒険。

よく二人で読んでいた絵本。


たとえアニーがそばにいなくてとも絵本がいつもそばにいた。


何年たってもアニーは見つかることはなかった


死体が浮かんでこないことが良いことなのか それとも別のどこかに死体となって投棄されてしまったのか そう考えるといまでも、パパもママも自分と一緒で気がつけば落ちこんだ。


下にいたママは物音一つ聞かなかったといっていましたし、もちろん一番近くにいた自分はベッドの上で鼾をかいていつも通り寝てたのだから



(なのに、目が覚めたらアニーの姿はもうどこにもなかった。


恐い 怖いと アニーは今も怒っているのだろうか? 


先に眠ってしまった双子の兄である僕を責めながら・・・・)


トビーはため息をついた。


なんだかんだで、一番アニーが好きなのは自分だから。


アニーが消えたあとの家族は荒れた。


確かに近所の人は確かに優しかったけれど、遠くでニュースを見てた人たちからは娘が誘拐されたことに

気づけなかった母親として有名なってしまっていてママはすっかり鬱状態になってしまったから。


子供たちに目を向けず 話をしてこなかったお父さんは次第に自分は関係ないといわんばかりの顔をし始めた。

そんなわけだから、パパとママは一度 離婚した


だからといってパパとママ二人の間に愛がなくなったわけではなかった。


その証拠にママは鬱からもどってきたし、パパも家に戻ってきて、ごめんなさいと謝罪して元のさやにおさまった。


このあとのパパは、小さいころに比べて優しくなった。構ってくれるようになったし、格段に良く話すようになった。今でも「おはよう」「おやすみ」は欠かさなくなった。母は前よりも落ち着いている。

それでもいまでも電話の音に過敏に反応した。


離婚は多分二人にとっては冷静になるために必要なことだったのだろう。

いまだに二人の間は少しギクシャクしているけど それも次第に薄れていくのだろう。


けれどもトビーには、たった一つだけ、誰にも言えなかったけど鮮明に覚えていることがあった。

もしかしたら、夢の中だったかも知れなかったけど。

「確かにトランペットの音を聞いたんだ。 あれは確か・・」

何かを思い出しそうになったころ、セットしていた目覚まし時計が煩く鳴り響いた。時計の針が7時を示した。

「学校の時間か」

いつまで頭を悩ますのは、億劫な事。学校にいって忘れてしまえいい。


トビーは幼かったからアニーのことをちょっとだけ忘れて立派な青年になった。


もちろん、双子の妹のことなのだから完全に忘れたわけじゃない

あくまでちょっとだけ


だって時は容赦なくたってしまうものなのだもの



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