朝起きの朝
朝になって目覚まし時計の音でトビーは目をさました。隣のベッドを見るとすでに空っぽだった。
「アニー もう起きているの?」
アニーはしっかり者だ。
けれども、ベッドから起きるのはいつもトビーよりも遅かった。
アニーはしっかり者のくせにお寝坊さんだから朝起きのトビーはちょっとそれが自慢だったりもしたのだ。
「アニーが先に起きるなんて珍しいこともあるもんだな」
トビーはパジャマを着たままママが朝食をつくっている台所に下りていった。今日はアニーもいるのだろうベッドの上にパジャマが置いていないからもちろんパジャマのままで。きっと得意満面な顔で
「あらトビーおそいじゃない」
というのだろう。
(それはちょっと悔しい)
階段を下りて台所に向かうとちょうどママが毎朝つけている黄色いエプロンをつけて卵を焼いていた。お父さんはまだ夜警の仕事から帰ってきてないようだ。
「おはよう ママ」
「トビーおはよう よく眠れた?」
「うん もうすぐ朝食?」
「そうよ 今日は目玉焼き」
「アニーは?」
「まだ寝ているでしょう 起こしてきて」
お母さんは言った。
「ママ ベッドの中にはアニーはいなかったよ。先に下に下りてこなかった?」
お母さんは焼きあがった目玉焼きを皿に入れてテーブルの上に置いた。
「いいえ 見なかったわ じゃあトイレかしら?先に食べて焼きたてよ 火傷しないでね。」
「わかったよ ママ」
目玉焼きがちょうどいい具合に焼いてあってここで食べなきゃ損だ。
そう思ったトビーは黄身の部分をトーストに挟んで食べ始めた。
「おいしい?」
ママはニッコリと微笑んだ
「おいしいよ 少しやわらかいいけど」
「じゃあ失敗かしら」
「僕はやわらかいの方が好きだよ」
「あら 良かったわ じゃあママはアニーを呼んで来るからサラダも食べておくのよ」
ママはアニーを呼びにキッチンから出て行った。
「トマトは苦手なんだけどな」
口の端が黄身で黄色くなっていたので、テーブルの端においてあった布でぬぐった。
さっきまで目玉焼きの黄身で黄色くなっていた口の代わりに今度は布が卵の黄身で黄色くなった。
あとは布を洗濯機にかければきれいにこの黄色ぬけるだろう。サラダもパリパリしていておいしいがやっぱりトマトだけはどうしても苦手で皿の端によせた。
こういうとき決まってアニーがママに告げ口するのだが、予想外にアニーはトビーが朝食をすっかり終えたあとも姿を現さなかった。
「アニーがトイレを占領しているのかな」
だったらアニーはトイレの住民だ。
プッと笑いこぼしてトイレのドアを開けた。けれど、アニーはいなかった。
「二階かな」
トイレから出るとママが二階から降りてきた。
「ママ アニーはどこにいた?トイレ?」
「トイレにも部屋にもいなかったのよ トビー アニーは下に降りてこなかった?」
「まったく」
「お外にいったのかしら?」
「鍵がかかっているよ」
トイレからでてすぐ横は玄関。玄関はまだ新聞もとってないから鍵もチェーンも付いたままだった。
トビーは着替えるために子供部屋に戻ったけれどアニーはやっぱりいなかった。
「あっ 絵本片付けてるの忘れていた」
トビーは開いたままになった絵本を持ち上げた。
「少し濡れている」
天窓が少し開いているから雨でも降ったのかもしれない。
トビーはタオルを一枚と着替え取り出すとタオルで濡れたページを丁寧に拭いてやった。
拭いたあとはタオルを挟んだままテーブルの上に置いて乾かすことにした。
「ちゃんと乾けばいいな」
トビーはパジャマを脱いで、長ズボンと青い長袖のシャツを着た。
トビーは立ち上がって部屋をでるとまた下に降りた。




