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のびる魔の手

トビーは、そこで絵本をパタリと閉じた。横ではトビーと同じ顔をしたアニーが顔をしかめていた。

「こわいはなしだわ それに気味が悪い」

「そうかな」


「そうよ この絵なんだか怖いわ」

「結構おもしろいと思うんだけどな 特にこの男 これはピエロだね 「ゆーもあ」があるよ」

トビーはケラケラと笑う顔が描かれたピエロに賛辞するがそれにアニーは眉をひそめる。


「変なこと言わないで!まったく」

トントン 誰かが子供部屋をノックした。といっても今は部屋の外にいる人物なんて一人だけ。その人物とは・・・・

「誰!」

アニーは驚いて怒鳴り声を上げた。カチャとドアを開いて中に入ってきた人物の顔をみて、アニーはホッとしてそばに駈けよった。入ってきた人物は二人のママ。


「アニー  トビーまだ寝てなかったの!それに今何時だと思っているの 真夜中にそんな大きな声で叫ぶんじゃないの!」

「ママ!」

「アニー 早く寝なさい」

「ママ ママ  トビーったら酷いのよ!」

アニーは声を聞きつけやってきたママに抱きついてわめいた。


「まあ!一体 何事なの」

ママは抱きついてきたアニーの小さな体を抱き上げて尋ねた。


「トビーったら あんな不気味な本を選んでくるんだもん!怖くて眠れないわ!」

「本?あら 床に本を落としちゃだめでしょ」


ママは床に落ちた絵本をとってトビーに渡すとアニーの頭を撫でてアニーの癇癪を宥めた。


「だってえ 怖いんだもん!」

「選んだのは僕だけどアニーだって読みたいって言ってたじゃないか。それに そんなに怖くないと思うんだけどな あれっ?」


トビーは絵本の表紙を見ながら、首を傾げた。


「なに?」

「ピエロが笑っているみたいに見える」

「また 怖いこと言う!嘘つき!」

「嘘なんてついてない!アニーもちゃんとみてごらんよ」

トビーが絵本をアニーに見せようと絵本を近づけると確かにケラケラとした笑い声が聞こえた気がした。アニーは恐くなってバシンと絵本を床にはたき落とすとポカポカとトビーの背中を殴った。


「痛い 痛い アニー 殴るなよ」

「嘘つき 嘘つき 笑ってないもん!」

「アニー もう夜中なんだから 静かになさい!トビーもアニーをからかわないの」

「からかってないよ それに僕は嘘なんていってないよ!ママも見てよ」


トビーが声を上げた。。


「トビー?あなたは悪い子なの?嘘ついたらだめよ」


ママが低く声をだすとトビーはこれ以上言うのを諦めてしぶしぶと、

ベッドに入る。


「わかったよ。ごめんね アニー ママ そして おやすみなさい」


「そうよ いい子ね さあ アニーも寝なさい」

「ママ 私怖いわ そばにいて!」


アニーは怖くて泣きながらママを引き留めた。


ママはアニーを抱き上げてポケットの中からハンカチを取り出してアニーの涙を拭いて頭をなでて言った。


「アニー ママは仕事があるのよ  トビーだってそばにいるでしょう?それにアニスだっているでしょう?」

「アニスはお人形よ! 私一人で寝るのが怖いのよ」

ママはアニーの枕元をかざるちいさなアンティークドールを手に取るとアニーの胸元に押し付けた。


「トビーもいるでしょ」


「どうせ先に寝ちゃうわ!こんなに私を恐がらせてこの子寝つきだけはとてもいいんだから」


「こら そんな事いわないの 目をつぶっていれば寝れるわ」


「恐いの だから眠れるまで側にいて!」


アニーが涙になりながらそういうとママはため息をついて言った。


「はあ  アニー ママを困らせないで 私は仕事があるのよ 締め切りが近いの。わかるでしょ?こうやってアニス抱いて寝ればさみしくないわよ いい子だからおやすみなさい。」


「ママおねがい」

「アニー おやすみよ?」


ママはなおもそばにいて欲しいとせがむアニーにトビーの時と同じ低い声を出した。

その声にママの怒りを感じて、アニーはしぶしぶとベッドの中に潜り込んだ


「わかった おやすみ」

「いい子ね 電気を消すわよ。」


パチンとスイッチの切れ、部屋が真っ暗になる。途端にアニーが悲鳴をあげた

「ママ 電気は点けておいてよ!」

「こうした方がよく眠れるのよ。廊下の電気は点けといてあげるから。じゃあまた明日ね。 かわいい子供たち」

ママはそういって、自分のかわいい子供の額にそれぞれキスをして、真っ暗な部屋から出て行った。


「ホントに見たのになあ・・・・」

真っ暗な部屋の中でトビーはボソリとつぶやいた

「トビー!やめてっていったでしょ!」

トビーの小さな呟きを聞いたアニーはとげとげの癇癪玉をまきちらす。



「わかった わかった もう言わないよ。 だから アニーも怒るんじゃないよ 女の癖に大きな声でみっともないぞ」


「知らない!あんたはとっとと寝なさいよ!じゃなきゃトンカチでその頭ぶったたいてやるから!」


「やれやれ」


トビーはフーと溜息をつくと布団を頭からすっぽりとかぶって目をつぶった。すると、まもなくトビーの静かに眠り落ちていった。

「ちょっと ほんとに寝ちゃったの?トビー トビー 起きてるんでしょ?ねえ」

スースーとトビーの寝息が真っ暗な部屋の中で響いていた。

「なんて寝つきがいいの! ずるい ずるいわ! 人を散々怖がらせておいて、自分はさっさと寝ちゃうだなんて!」


アニーは自分で寝ろと言ったにも関わらずこうもあっさり寝られると自分だけ置いてきぼりをくらったような気分なった。


部屋の中は相変わらず真っ暗でいつもは文句が出るくらい煩い外も今日は、恐ろしく静まり返っていた。それがとても怖くなった。


「下に降りたらだめかしら・・・だめね ママにきっと怒られるわ」


アニーは恐いのを我慢してトビーと同じように目を瞑った。


「眠れ 眠れ アニー眠るのよ 怖いことなんて何にも無いんだから・・」


アニーは自分に言い聞かせる。


 けれども、一向に眠気は来ない。それどころかパッチリと目が冴えてくるのだ。


ようやく暗闇に目が慣れてきたアニーはじっと横で眠っている兄を、トビーを睨んだ。


隣のベッドで気持ちよさそうに寝息を立てているトビーの姿に収まりかけてきた怒りが沸々とこみあげてきた。

アニーはベッドから起き上がって眠っているトビーのほほをパチンと叩いた。これで起きてしまえていい


とアニーは思ったが叩かれたのにも拘らずトビーはグーグーと鼾をかきはじめまったく起きる気配は無かった。狸寝入りというわけでもなさそうだ。


アニーはしぶしぶとベッドの上に腰を下ろしてフウとため息をついた。もうパッチリ目が冴えてしまって眠れそうない。


(このまま朝を迎えてしまうかもしれないわね それも一つの手段かも 明日は土曜だし 学校もないし、昼間に寝れば恐くないもの)


ゴロリとベッドの上にころがって目を閉じてアニスをギュウと抱きしめた。


(あれ もう 眠ってしまえるかもしれない)


急に襲ってきたきた眠気にアニーは安堵した。少女はようやく夢の中に沈み込んでいったのだ。

グーグー スースー アニーとトビーの寝息は二重奏を始めた。


パンパカーン

パンプク プク プク パープ パープ 

パンプク プク プク パープ パープ 


ラッパの音の聞こえた


突如 床が開いた

暗い闇の中から肌色を塗りつぶしたような不気味白い手が這い出た。

「れでぃ すあん じぇんとるめん! さあ 始まり 始まり 少年 少女 二名様ご案内!」


パンプク プク プク パープ パープ 

パンプク プク プク パープ パープ 


「幕は上がった 序章は終わり!そして始まる第一章!」


闇がから這い出た白い手は子供を一人 丁重に抱きかかえ闇の中に連れ去った

切り裂くような悲鳴が一つ 誰にも気づかれず響き渡った。

残った子供はただ一人。


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