微能力5
では、最終話、楽しんで頂けたら幸いです。
どうぞ!
「えーと、やった?」
僕は呟きながら、魔王と勇者の方に向かって歩いていく。
すると勇者が剣を鞘に戻し、こちらに振り向いた。
「よし、魔王は倒したようだ! 少年、君のおかげだ!」
勇者が魔王を通りすぎ、僕の元にやってきて、手を差し出してくるので、笑顔でそれに応じる。
「ま、まだだ、まだ、終わらん」
「な!」
魔王の声がして、慌てて、声の方を見る。
魔王の体から黒いモヤのようなものが吹き出し天に登って、空を黒く染めていく。
慌てて、勇者が抜刀しながら、魔王を切りつけると、魔王の体は黒いモヤになり、霧散した。
「フハハハ、ただで、この私がやられると思うなよ!
この世界を闇で覆ってやる!」
どこからともなく、魔王の声が聞こえてくるが、今の状況はかなり悪いらしく、勇者も膝をつき、空を見上げているだけだ。
僕もどうしていいのか分からないので、空を見てるだけだ。
だんだんと、周りが暗くなって来た。
そこで、最後の能力のことを思い出す。
ただ、光るだけの能力だったが、何か起こるかも知れないと、右手を上げて、念じる。
すると右手が光り、その右手に空の黒いモヤが吸い込まれ始めた。
「な、なんだこれは!」
また、どこからか、魔王の焦った声が聞こえてくる。
「な、なんだこれは」
勇者も放心したように僕のことを見てくる。
そして、空を覆っていたモヤがすべて吸い込まれ、
雲一つない青空が広がった。
右手を胸のあたりに持ってきて、見つめると、右手から黒い玉が出てきた。
その黒い玉がひとりでに浮き離れていく、僕から2メートル位の所で止まると、光りに包まれた。
眩しさに目を瞑り、しばらくして、光が収まったので、見てみると、そこには赤ちゃんがいた。
「え? どういうこと?」
「な、なんだこれは」
僕と勇者が困惑してみても、目を擦っても目の前の状況は変化しない。
「えーと、まさか、この子は魔王の成の果て?」
「な、本当か?」
「いや、だってそれしか思い付かないんですもん」
僕と勇者は目を見合わせる。
「どうします?」
「どうするか」
「そうですね、勇者さんが育てたらどうですか?
悪い子にならないように」
勇者は少し考えこんだ後、よし、と覚悟を決めたような顔をする。
「この子はこの勇者たる私が責任を持って育てよう、この度は大変お世話になった、本当にありがとう
この世界の勇者よ」
「いえいえ、そんな大した人間じゃないですよ」
本物の勇者に、勇者と言われてすごく照れ臭かったが、同時にすごく嬉しくなった。
「では、私は行くとするよ」
そういうと、勇者は赤ちゃんを抱えて、歩いていった。
「てっ、 元の世界にかえるんじゃないの!?」
誰もいない森に僕の叫び声が木霊した。
どうでしたでしょうか?
感想お待ちしております。




