一人+一人=二人?
その日は旅の疲れからか、死んだように眠って、どうやって布団の中に入ったかは覚えていない。
ただ、俺は布団の中で少女を腕の内側に納めていた。
時計を見ると午前4時を刺す針が、少しだけ右にずれる。
「顔でも洗うか。」
俺は少女を起こさないように、ベッドから這い出た。
洗面台に向かい、備え付けであった歯ブラシとコップを取り、歯を磨き始めた。
「ん、んん。あれ?起きてる?」
「起きてるぞ。早くこっち来て歯磨きして顔を洗え。」
「えー、めんどくさい。」
「歯磨きしないとうまいものが食えなくなるぞ。ほら早く。」
その一言に反応したのか、少女はすぐにきた。
横に並びながら歯磨きをし、顔を洗い、寝癖を直してから部屋の外にでた。
「どこかうまいものが食える場所はあるか?」
「あるよ!食べたことは無いんだけど、見てるだけで美味しそうって思う店はある。」
「じゃ、そこいくか。」
少女は満面の笑みでうなずいた。
店についてから食事が出てくるのに少し時間があったので、俺は少女に質問をした。
「お前の名前は?」
「名前?」
「そう。名前。俺はリドウ。よろしく。」
「名前かぁ、、、。」
そこで少女の顔は今日の朝みたいに雲りがかっていった。
「なんかあったのかよ。」
「いやいや、たいした話じゃないんだけど、私さ、生まれてから名前なんてなかったんだ。」
「そう、なのか。すまなかったな。」
「うん。だから責任とって私に名前つけて。」
リドウは少し迷ってから決めた。
「お前の名前はリクネだ。よろしく、リクネ。」
「よろしく!リドウ!」
一人だった少女と一人になりたいはずなの少年のお話はまだまだ続きます。
たまたま読んでくださった人は有難うございます。




