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一人+一人=一人  作者: 松川φ(゜゜)ノ゜
1/8

一人ぼっちの少女

人は一人だ。

なにがあっても結局一人だ。

家族が出来ても結局一人だ。

誰かと巡りあった分、誰かとお別れをする。

そして誰もいなくなり、最後には一人だ。

だったら最初から一人でいい。

誰も愛さない。誰も信じない。

「俺は、一人でいい。」



古びれて蔦がはびこっている拙い線路沿いを、地図を片手に歩いていた。

「ふう。あと少しか。」

そして木々が誇らしげに生やしている葉を抜けた先に、ほんの少しだけ山を切り開いた町が見えてきた。

「あそこだ。」

上り坂になっていた線路を、今度は下っていく。

町につくまでにはそう時間はかからなかった。

そして町に入ると、そこは小さい町ながらもかなりの活気があった。

すると突然後ろから人にぶつかられた。

「おっとごめんよお兄ちゃん。気を付けなよ?この辺はスリが多いから。」

少女だった。そして気がつくと目の前に姿はなかった。

まあいいか、とポケットにしまっていた財布がないことに気がつく。

「あの小娘か。ふっ、でも残念。スリは前の町で経験済みだ。本物の財布は俺の胸ポケットにある。」

わざと独り言を言ってみると、すぐさま少女は戻ってきた。

「これ、落ちてたんだ。返すよ。」

「まて。」

その場から立ち去ろうとする少女の頭をつかみ、後ろを向いている少女を無理やりこちら側にむけさせた。

「な、なにかなお兄ちゃん。」

「なんでこの財布が俺のだってわかったんだ?教えてくれ。」

「だって、いま財布がないとかって、言ってなかったっけ?」

「言ってたな、そういえば。」

「そうだろうよ!」

「中は見たのか?」

「見てない。」

ここまできて少しバカらしくなってきた。

「お前素人だろう。」

「な、なにがっ!?」

「スリするのに向いてねぇぞ?俺の財布はひとつしかねぇし、金もこの財布の中に全部入ってる。普通気付くだろう。」

「さ、さらば!!」

「まて!」

そう言って少女を掴もうとした瞬間、少女は上に勢い良くジャンプし、俺が掴んだのは少女のズボンだった。

「ッ!?」

「なっ!?」

バランスを崩して倒れる少女と、少女のズボンを手に持っている俺。回りの人から見れば俺が一方的に悪い。

はずなのに。

「兄ちゃん大丈夫かい?」

「そんなもん捨てて、さ、うちの店でご馳走でも食べていきな。半額にしてやるよ。」

みんな俺にかまって転んだ少女のことは気にしなかった。

「あの、俺はいいんで、彼女の方を。」

そう言った俺の発言に対して、町の人は、

「彼女って、どれだい?」

と、しらを切ったかのように少女を無視していた。

「あの、見えてないんですか?」

すると一人の老人が、まるで助言するようにいった。

「悪いことは言わん。目に映っている者がすべて正しいと思うな。わしには見えんが、その少女の犠牲でわしらは安全に暮らせるのじゃ。」

あくまでもいない存在。見えない生け贄。そう言うことだろう。

なんて町だ。

「分かりました。おい、大丈夫か?悪かったよ。」

そう言って手に持っていたズボンを投げ渡すと、少女の顔は涙でいっぱいだった。

ズボンを手に握り締めて、大粒の涙をただ声を出さず流していた。

俺はそれを無視出来なかった。

「一緒にこいよ。お詫びに飯おごってやる。」

一人になることの怖さや悲しさを伝えられたらいいなと思って書きました。まだまだ続くので、もしよかったら読んで見てください。

バカなので内容が「は?なにこれ?」となるかも知れませんが、そこはバカな作者がいるんだよと笑ってくれるとありがたいです。

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