第三話「覚醒、討伐、旅立ち」
《条件を満たしました。
特殊スキル〖雨天の王気〗が覚醒しました。
王気の覚醒により、
特殊スキル〖闘気:レベル最大〗、
〖神気:レベル最大〗を取得しました》
マサルが叫んだ瞬間、ウィンディエルボイスのアナウンスが彼の耳もとで流れた。
「ひっ」
アナウンスが流れ出した途端、黒髪に青色のメッシュが入って、黒いひとみが青色に変化したマサルの体から、青色のオーラがぶわっと広がり、青白い肌の男に、恐怖を感じさせた。
「なっ!? うっ! かはっ」
青色のオーラに薄く包まれたマサルは、瞬時に起き上がって、地面を蹴り、ものすごい速度で、青白い肌の男に接近。
メイの首を掴んでいる男の青白い右手首に、手刀を放ってから、彼を殴り飛ばした。
「〖モア・キュア〗」
地面に腰を下ろしたメイが魔法を発動させると、右手の延長線上に、ピンク色混じりの金色の魔法陣が出現。
そこから、現れた同色の光球がメイに触れた直後、また同色の光が彼女の全身を包み込み、魔族の唾液付着による状態異常が改善された。
「大丈夫か?」
「うん。今、回復したから、大丈夫」
「町に戻って、まってて。
俺は、大丈夫だから」
「わかった。〖シャイン・ヒール〗」
メイが魔法を発動させると、彼女の右手の延長線上に、オレンジ色混じりの金色の魔法陣が出現。
そこから、放たれたオレンジ色混じり金色の光球がマサルに触れた直後、同色の光が彼の全身を包み込み、負傷した部分を完全に癒やした。
「ありがとう」
「うん。それじゃあ、まってるね」
マサルに治癒魔法をかけたメイは、町のほうへと駆けていった。
「〖鑑定〗。戦闘力10万!?
俺の50倍じゃねえか!?
うそだ。人族ごときが俺を超えるなんて」
「〖纏色・変化2〗」
青白い肌の男が体を起こして、上級以上の魔族も有する特殊スキル〖神気〗の効果を発動。
それにより、赤黒いひとみが輝いて、見えるようになったマサルの情報に、男が驚く。
そうしている間に、マサルが詠唱。
彼の全身を薄く包むオーラが輝き、氷の両刃片手剣が生成された。
「〖纏色・変化〗」
「は?」
地面を蹴り、男に急接近したマサルが詠唱。
彼の全身を薄く包む青色のオーラが再度、輝き、氷剣に纏わせた部分が青色に輝く水に変化した。
マサルが男の青白い首へと、水を纏い、激流のような勢いも、手に入れた氷剣を横薙ぎに振るう。
すると、男の首が簡単に斬れて、筋肉質な胴体から離れた頭部が地面に転がった。
(いっかい。あと2回)
マサルは、後方に跳んで、男から離れながら、心の中で呟いた。
上級以上の魔族は、〖自己再生D〗を有していて、それにより、討伐するのに、3回の首斬りを要する。
「なっ!? 首が繫がらねえ」
青白い肌の男は、自身の頭部をもとの位置にあてがうが、再生しないため、焦り出した。
〖雨天の王気〗から、変化した水は、〖自己再生D〗の効果を少しだけ遅らせられる。
「……繫がった。てめえ、やって……」
ようやく、首を再生させた男が怒り出そうとしたところで、マサルが男に接近。
そして、青白い首へと、青色オーラ産の水を纏った氷剣を振るい、男の頭部と胴体を斬り離して、言葉をさえぎった。
「おい! しゃべらせろ!」
再度、頭部をもとの位置にあてがいながら、青白い肌の男がマサルに言い放つ。
「おっと、あぶねえ」
マサルが急接近して、青色オーラ産の水を纏った氷剣を振るおうとした瞬間、青白い肌の男は、近くの木の幹に、跳び乗った。
「反撃させてもらうぜ。〖鬼化〗。
グラアアアアーーッ!」
青白い肌の男が上級以上の魔族の固有スキルを発動。
すると、赤黒いひとみがなくなり、黒髪が白く染まり、禍々しい黒ツノが前髪の両端から生えた。
直後、黒いオーラに、全身を包み込まれた男がおたけびを上げた。
「〖纏色・変化3〗」
マサルが詠唱すると、青色オーラが輝く。
青白い肌の男に向けた左手から、紫色に輝く電撃が放たれるが、その前に跳ばれて、不発に終わってしまった。
「くっ」
跳んで、背後にきた青白い肌の男に、黒いオーラを纏い、延長した爪で、引っかかれてしまったマサルが顔を歪める。
すぐに、反撃しようと氷剣を振るうが、後方に跳ばれて、不発。
(王気は、硬度を持ってるのに、
あの黒いオーラ、貫通してくるな)
青白い肌の男からの黒オーラ延長爪の攻撃を氷剣で防ぎながら、マサルは、心の中で呟く。
(攻撃の隙がないな。
どうにかしないと……あっ、そうか。
〖纏色・変化3〗)
マサルが心の中で詠唱。 青色のオーラが輝き、氷剣に纏わせた部分が紫電へと変化した。
「ウッ」
マサルが帯電させた氷剣で、青白い肌の男の黒オーラ延長爪での攻撃を防ぐと、刀身にほとばしる紫電が男の筋肉質な体に伝わり、吹き飛ばした。
〖鬼化〗状態により、理性を失っていて、ダメージを無視できるため、男は、地面に倒れると同時に体勢を整えて、地面を蹴った。
(〖纏色・変化〗)
マサルがしゃがんで、心の中で詠唱すると、彼の全身を薄く包む青色のオーラが輝く。
その瞬間、マサルの両足から、青色に輝く水が噴射して、彼の体を浮き上がらせ、青白い肌の男からの攻撃を不発に終わらせた。
(〖纏色・変化2〗)
空振りした青白い肌の男がマサルの後方に位置する木へと駆け出した。
水を噴射させて、ホバーリングしながら、それを見て、氷剣を捨てたマサルが心の中で詠唱すると、青色のオーラが輝き、彼の手もとを包む部分から、氷の両刃片手剣が出現した。
新しく出現した氷剣は、先ほど捨てたものとは異なり、刀身の幅が広くなっている。
(〖纏色・変化〗)
青白い肌の男が木を駆け上り、マサルのもとへと跳んだ。
その瞬間、マサルが心の中で詠唱すると、青色のオーラが輝き、彼の両足から、青色に輝く水が勢いよく噴射し、彼の体をより高く浮き上がらせて、男をかわした。
(〖纏色・変化〗)
その瞬間、マサルが心の中で詠唱して、青色のオーラが輝くと、逆さまに持った氷剣の柄から、青色に輝く水が勢いよく噴射して、急降下を開始した。
真下に位置する青白い肌の男を巻き込んだと同時に、マサルが青白い首に氷剣を突き刺した。
「くっ!」
地面に衝突したと同時に、音が周囲に響き、衝撃がマサルの体を襲った。
その直後、青白い肌の男の頭部が筋肉質な胴体から離れて、地面を転がった。
《上級魔族を討伐しました。
討伐報酬として、10万WPを獲得しました》
青白い肌の男が黒い粉塵と化して、消滅し、魔石が地面を転がったところで、ウィンディエルボイスのアナウンスがマサルの耳もとで流れた。
「倒せた。周囲には、なにもいないみたいだな」
〖神気〗の能力である魔力探知を発動して、生物が近くに存在しないことがわかったところで、マサルの黒髪に入った青メッシュ、青色のオーラが消えて、ひとみの色が青から黒に戻り、その場にゆっくりと倒れ込んだ。
――
翌日、目覚めたマサルを王都の騎士たちが訪ねてきた。
王都は、魔王を討伐すべく、〖王気〗が覚醒した者を集めていて、マサルを迎えにきたらしい。
マサルは、名残惜しみつつ、メイたちに別れを告げて、王都へ向かった。




