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私の星と、炎の星。  作者: 雫 のん
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第4話 大好きなお姉ちゃん

喧嘩を始めたラビジェルと龍東(りゅうと)に怒った不死炎鳥(フェニックス)は、怒りで人格が変わり、ラビジェルに向けて容赦なく炎を放った。

教室全体は炎に包まれて…

 

不死炎鳥の瞳を真っ直ぐ見つめたまま、告げた。

「無理、だと?」

「そう。むりだよ。ありえない、ゆるせない。言葉でかいけつしきろうって思えないの?」

「黙れと言った。言葉は通じなかっただろ。」

「らびちゃんに通じてなかったとしても、少なくともりゅうと君には通じていたでしょ。言葉の通る方に通そうと思わないの?」

「……思わない。二分の1が話を聞き入れたとしても、二分の1はうるさいままだ。うるさくて迷惑であることに、変わらないだろ。」


 その言葉を聞いて、2人の喧嘩が彼にそんなにも迷惑をかけていたんだと思い知った。エンジェルは少しほほえましくも思っていたそれは、彼にとっては害悪でしかなかったのだ。

止めればよかった、とエンジェルは後悔した。そうすれば、こんなにもヒトは傷つかなかったのに、と。

「そうだったのね…。それは、妹を止めなかった私が悪かったね、ごめんなさい。」

 だから、エンジェルは頭を下げた。実行したのは自分ではない。きっかけを作ったのも自分ではない。

しかし、涙なくきっかけを止めることができたかもしれないのは、自分だったから。

「なぜお前が謝るんだ。悪いのはあいつで…あいつが、あいつらがうるさくしたから…」

急に慌てたような態度になる不死炎鳥に、エンジェルは思わず苦笑してしまった。

「ふふ、れいせいな態度はどこにいったの?」

「お前馬鹿にしたな?」

ただそれは煽ったと勘違いされてしまったようで、不死炎鳥の瞳に怒りが宿った。


「覚えてろ。次何かあったらお前もまとめて焼くからな。名前は?」

「次がないようにがんばるから…。私の名前は、エンジェル・キャットよ。」

話の前後が何か変だったことには突っ込まずに答えた。そのまま不死炎鳥は教室から去っていった。

授業とかどうするつもりなの…

(あ、いけない!!らびちゃんをすぐ家に連れていかないと!)






『私の名前は、エンジェル・キャットよ。』

そう名乗ったあいつの、エンジェルの言葉が、教室を出た俺の頭に響く。

(俺に、真っ向から楯突くだなんて…。大した力もないくせに。)

あいつは、恐いもの知らずのただの馬鹿ではなさそうだった。多分、自分に正直なだけだ。

(比べて俺は、真っ直ぐに言葉を伝えられていない…。「天才」の名が恥じるのが、そんなに恐いのか?)

そんな考え事をしながらボーッと下駄箱に向かって歩いていると、誰かにドンっとぶつかった。その相手は、

「っと誰じゃ?…って蘇復様!!すみません何でもないですよっ。ぶつかってすみませんでしたっ」

玄武長老だった。

(こいつ…ジジイの癖に小1にひよりやがって。だせぇ奴。

…あいつとは、大違いだな。)





 質素なベッドの上で、ラビジェルはパチリと目を覚ました。

「あれ?ここどこ?てゆーかがっこーは?…もしかしておねぼう!?」

やばい、と急いで飛び起きる。そこでふと違和感に気づいた。

「あれ??じぇるは?どこ?」

いつも隣で寝ていてくれるはずの、エンジェルがいない。幼稚園の頃からいつも一緒に寝ていてくれた。

そして、朝になるといつもいつも起こしてくれる。そんなエンジェルが、今はいなくて。

「うわぁぁーーん!!じぇる!!じぇるどこにいるのー!!??」

ラビジェルはエンジェルのことを頭に浮かべて泣き出した。

「らびをすてないでーー!」

 この星では、ヒトは皆長老(げんむ)の魔法、《ホープ・ラヴ》によって、乳児の姿で神から玄武の手へ授けられている。

そして、幼稚園時代を専用の施設で玄武によって教育を受けながら過ごし、小学一年生になる頃からは、玄武が建てた小さな家で(1~3人で)暮らす義務がある。

エンジェルとラビジェルは、その家で共に暮らす義理の双子の姉妹。

 だからお互いが本当に大切で不可欠で、喧嘩をしても意見が食い違ったって大好きなんだ。エンジェルは勉強が得意で器用で真面目なお姉ちゃん。ラビジェルは運動が得意で自己肯定感が高い明るい妹。2人は、たりないところを全部補いあって生きている。

 そんなエンジェルと、ラビジェルは今まで片時もそばを離れたことはなかった。甘えん坊なラビジェルはエンジェルにいつもくっついていたかったし、お姉ちゃんぶりたいエンジェルもそばにずっとくっつかれるのは嬉しそうだった。

そんなエンジェルが黙って自分のそばを離れたことに、ラビジェルは絶望し、悲しみにくれていた。






 本日の学校の下校時刻になり、龍東はエンジェルから書いて貰った地図を頼りにエンジェル達の家へと向かう。エンジェルに、ラビジェルへの伝言を頼まれたのだ。

龍東以外には暇な人もラビジェルのところに行ってもいい人もいなかったようで、仕方なく向かっている。

 しばらくして、表札に〔エンジェル・キャット&ラビジェル・バニー〕と書いてある家を見つけノックをする。

当然この星にはインターホン等はない。

「ラビジェルー?いるかー?」

 返事は聞こえなかった。だがその代わりに泣きわめく声が聞こえてきたため、何となく今のラビジェルの様子を察した。

龍東は彼女の面倒なところをこの2日でよく理解していたからだ。

(寂しーんだろーな)

 ラビジェルは出てこないと判断し、一応声をかけて部屋に入り、衝撃を受けた。

(…!?ここ本当にラビジェル共の(うち)か?)

部屋はとても綺麗に掃除されていて、塵ひとつ落ちていなかった。

この廊下を歩くことに躊躇いを感じたが、なるべく早く家に帰るために進む。

 そしてラビジェルの声が聞こえる部屋の前に来て、ガチャ、とドアを開ける。

「おいラビジェル、エンジェルからの伝言だ。」




 ドアが開く音がして、エンジェルが来たかなと思えば龍東だった。それに気付き、ラビジェルは失望する。

「なんだおまえか…じぇるじゃなかった……」

「マジでおまえクソみてぇだな。」

 明らかに声のトーンが下がった龍東を無視してラビジェルはさらに悪態をついた。

「なんでおまえがうちにいるの?じゃまなんだけど。」

「ひ、と、の、は、な、し、を、聞、け!!エンジェルから伝言頼まれたって言っただろーが!」

「は?おまえのはなしとかきくかちないし。」

 ラビジェルにとってはエンジェルが全て。他の奴の話などいちいち聞いたり覚えたりなんてしない。

……特例は除いて。

「はあ??じゃーエンジェルからの伝言は要らねえってことだな!俺がわざわざ来た意味なくなったじゃねーか。」

「だれがいらないなんていったの!?おまえばか?とっととつたえてかえれって。」

「無茶苦茶じゃねーかよ!」

 そうは言いつつも帰ろうとしていた足を止めてくれて、それに安堵する。

「『大丈夫?むりしないでね。』だってさ。」



「………え、それだけ?」

 想像以上に短い伝言に驚き、ラビジェルは呟いた。

「ああそれだけだよ!!それだけのためにわざわざここに来てやった俺様に感謝しやがれ。」

「あぁ?むり。じぇるにかんしゃする。」

 ラビジェルのことが大好きなエンジェル(ラビジェルはそう思ってる)のことなら、もっと長くて自分を安心させてくれるセリフを伝えてくれると思ってた。

 だか実際は、心配の言葉だけだった。






4話最後まで見てくださりありがとうございました!!

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他の作品も投稿しておりますので、そちらも見ていってくださると嬉しいです✨

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