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私の星と、炎の星。  作者: 雫 のん
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第1話 始めての学校で。

 とある異世界の宇宙には、「化物界」と呼ばれる1つの星があった。そこで暮らす生命体は、人間と化け物の姿になることができる亜人。

化け物の力で人類と戦いを繰り広げ、それにより得た食料や植物を使って生活をしていた。

 これは、その星で生まれた、とある天使猫の少女の物語。戦いをやめて、人類と共存しする平和を目指して。

小さな手、未熟な頭、癒しの力を最大限に活用させて…



「は、はじめまして。わたしのなまえは《エンジェル・キャット》。すきなどうぶつはねこで、すきなたべものはおさかなです!ばけものかは天使猫です。いろいろとめいわくをかけてしまうかもしれませんが、よろしくおねがいします。」


 今日はここ、玄武学校の入学式。

 この星の長老と言われ、この星を作ったとも言われている《玄武亀蛇(げんむ かめへび)》が造ったこの学校では、一般常識、学問、『力』の正しい使い方を学ぶ。

 始めての学校生活に、エンジェルは期待で胸を膨らませていた。自己紹介を終えて、拍手をもらい席に戻ると、窓から吹く暖かい春風がエンジェルの猫耳と翼を優しくなでる。

(きもちいい風、、ひあたりもいいし、こんなきょうしつで1年もすごせるなんて、ゆめみたい)

挿絵(By みてみん)

 エンジェルが幸せな気分に浸っていると、教卓の方から元気で可愛い声が聞こえた。

「わたしのなまえは《ラビジェル・バニー》!さっきのえんじぇるのいもうとなの!!すきなものはいちごとにんじん!よろしくね!」

 彼女はエンジェルの義理の妹。ぱっちりきらきらとした瞳と、さらさらの薄ピンクの髪が特徴の美少女。

 そして彼女の化け物化は天使兎であるため、頭からはうさみみが、腰下にはしっぽが生えていて、その可愛さが倍増している。綺麗な形の白い翼も、エンジェルにとって憧れである。

 その後も自己紹介は続き、最後の1人が終わったあたりで丁度良くチャイムがなった。というよりも、この星にチャイムなどないため担任の先生になった玄武が手に持ったベルを鳴らしただけだったが。


 早速休み時間に入り、陽キャな皆さんは色んな人に声をかけていく。エンジェルは大人しいほうなので、席についてぼうっとしていた。うとうとと眠りかけていたとき、バンッ、とエンジェルの机が叩かれた。

「ん~?」

顔を上げると、そこにはラビジェルがいた。

「じぇる!!じこしょーかいおわったね!ゆーりょーぶっけんないけめんいた??」

「らびちゃんはまーたそんなこと…わたしたちまだしょうがくいちねんせいだよ、わたしにはわかんない」

 ラビジェルは幼稚園の頃からイケメンや秀才に目がなく、そういう男子+エンジェルとしか仲良くしようとしていなかった。

 姉としてそこを直すべきと思い注意はするのだが、当のラビジェルがエンジェルの注意に耳を貸さないため直らない。

「えーけちー。」

 何が、と思ったが黙っておく。反論ばかりして妹に嫌われるのは嫌だし、彼女は泣き虫なところがあって、1度泣き出すと全然泣き止まないからあまり強く言うと正直後がめんどくさい。

「らびはねー、りゅーととかいいとおもったー!」

「ああ、あのこ…」

 いかにもラビジェルの好みそうだったな、と自己紹介を思い出す。第一印象はイケメンでクール。

 サラサラの深い青緑色の髪も、この幼さでも切れ長の瞳も、とても印象的だった。

 目線も真っ直ぐ、堂々とはっきりした話し方も多分高得点なのだろう。

「俺がなんだって?」


 2人が話しているところに、話題の張本人、《青竜(せいりゅう) 龍東(りゅうと)》が話しかけてきた。

「は!りゅーと!」

目を輝かせてラビジェルが言った。

「こ、こらラビちゃん。いきなりよびすてとかしつれいでしょ!」

 エンジェルは基本真面目なので、まだ幼いから許されるようなことでも、思わず注意をしてしまうことがある。

 それに、エンジェルは竜東に対して少し怖いという印象も持っていた。冷たい声が、なんとなく怖かったのだ。


 だか、そんなエンジェルの不安は悪い意味だが破られた。

「は!俺は呼び捨てとか気にしねーけど…お前みてぇな凡人はオ・ト・ナ・の・常識とかはわかんねぇだろうし!」

と、ラビジェルを馬鹿にしたからだ。それを聞いてラビジェルは怒りで顔を真っ赤にした。

「うわ!せーかくわる!!いいなっておもったらびがバカだったし!がーーーん!」

「なっ!おまえ調子に乗ってぇ!」

 そのまま2人はぎゃーぎゃーわーわーと喧嘩を始めた。

 うるさいし、周りの子たちも迷惑そうにしているから、エンジェルは2人に注意をする。

「ちょっと、ふたりともうるさいよ。ほかのこたちこっちみてるじゃん。そんなイジワルしあわなくたって…」

 その声に2人はハッとして大人しくなる。

多分エンジェルの注意ではなくて皆の冷たい視線が痛かったのだろう。少し顔を赤くして大人しく自分の席に戻る。


 その時、ベルの音が聞こえた。どういう仕組みか、キーンコーンカーンコーン…と音が鳴る。

「おーい、皆席に着くんじゃぞーい」

玄武がそう言うと、席を立っていた皆も慌てて席に着いた。ガタガタッと沢山の椅子の音がなる。

「ほいじゃあ次の授業…っぽいやつを始めるぞい。戦闘訓練じゃ。皆校庭にでろーい」


 校庭に出ると、すぐに太陽の光が目に入って眩しくて、エンジェルは思わず目をつむる。

 少しして目をあけると、そこには壮大な広い広いグラウンドと、木々の生い茂る森が広がっていた。それ以外にも、バトルステージ。湖。マグマが溜まっているところ等…戦闘訓練のためだけの設備が完璧に整っていた。

「んじゃあ始めよか。皆他の星を潰せるようにな」


「せんせい!!!」


 玄武が皆にかけた言葉を聞いて、思わずエンジェルは大声をあげた。聞き捨てならない。

「にゅうがくせつめいにあったじゃないですか!ただしい『力』のつかいかたを学ぶって!ほかの星をつぶすことが正しいんですか!?」

他の星を潰すために戦闘訓練をするなんて。

「…」

「せんせい!だまってないでおしえてください!わたしはそんなのいやです!そんなことのためにくんれんとか、やりたくないです!」

玄武は少し考え、言った。

「正しいことだ。」


「他の星を潰せるようになるために、戦闘訓練はやるのじゃ。」


「でなければ、わしらはどうやって生きていく?この星は土地が悪い。作物の栽培はあまりできない。そのため食用になる動物もいない。」


「それに、逆にこの星に戦争が仕掛けられたら?この星は小さいからヒトが少ない。まだわしとお前ら子供しかおらん。いざというとき、戦えなければすぐ死ぬぞ。」


 その話を聞いて、エンジェルは納得こそできなかったが理解はできた。生き延びるためには『力』を攻撃にも使えなければならないんだと。

「そうなんですか…わかりました。じかんとってごめんなさい。」

「いや大丈夫だ。訊きたいことがあるなら訊けばいい。わしは教師じゃ。答える義務がある」

「ありがとうございます…」

「そいじゃ早速…朱雀!何でもいいから今できる最大限の力で『力』を使ってみろ」

「りょーかいです!森にむかってやればいいですか?」

「ああ、そうじゃ」

 事前に1番に披露することを聞いていたのだろうか、玄武の声に《朱雀(すざく) 鳥南(ちょうな)》はすぐ返事をし、かけ声をあげる。

「ていやー!!!」

 同時に、彼女の伸ばした掌のあたりから、思いっきり強い強い炎が放たれた。その炎は森の沢山の木々を焼き付くし、そのまま奥へ奥へと燃え広がっている。

 玄武は、朱雀は筋がいいな、とかなんとか呟きながら何かのメモをとっていく。ラビジェルは、鳥南のものすごい炎を見て興奮してエンジェルに言った。

「じぇる!あのちょうなってこすごいね!もりがあんなにもえて!ちょっとこわいけど」

「ほんとだね、すごい…。こわいけど」

「すごい?どこが」

2人の話に、別の子の声が混じった。

「え、どこがって…すごいじゃん。あんなに強そう…」

エンジェルがその子…《白虎(びゃっこ) 西葉(せいは)》にそう答えると、西葉はもともときつい目をさらにきつくしてため息をついた。

「はー…あのていどで強そう?バカみたい。あんなのできて当たり前なんだけど」





 その頃。皆が訓練している森の奥で、2人の少女が話していた。1人は、黄緑色の髪を二つの三つ編みにした、強気な顔の少女、《空成(そらなり) 美影(みかげ)》。

 もう1人は、水色の髪を肩まで伸ばした、優しい顔立ちの可愛い少女。2人は今、今日のご飯に使う食料を探しているのだ。

「みや、かじつとかなんか食べれそうなものあった?」

木の上や崖を探索しながら美影が聞いた。

「んー、かじつじゃないけど、きのこ?みたいなのはあったよ。」

地面や低木をあさっていた美夜が答える。

「そっかー…きのこ…うーん、どうしよ」

 2人が学校に通っていない理由は、この森の奥深くに暮らしているため玄武が存在に気づかなかったことにある。

 つまり、2人はここで誰にも頼ることなく2人きりで生活をしているのだ。


この物語はフィクションです。

実際の出来事ではありません。


はじめまして!雫 のんです✨

始めて小説書ききりました!評価よければm(__)m

次巻も見てくれると嬉しいです!!


イラスト描いてくださった皆様感謝です!

エンジェル着席シーン みお 様

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