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自分の世界を作ろうーLet's making my world  作者: でぃく
1章 ゴブさんの拠点造り
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1-5 初めての採掘

 ルミールにこの世界の現状を聞きながら、まずは北に向かい歩いていた。

 道中、採取できるアイテムを拾いながらの移動だったため、その速度はゆっくりとしたものだ。

 どうやらこの世界には、街と呼べるほどの大きな集まりは数えるほどしかなく、国として存在するようなものは1つくらいらしい。らしいというのは、ルミールが直接聞いたわけではなく、集落にやってくる行商人や旅人から聞いた程度だからだそうだ。

 国の名前は『グラム王国』というヒューマンが多くいる土地で、国王を中心に周囲の土地を収めているそうだ。ルミールが元々暮らしていた土地からその王国までは距離があった為、行ったことは無いが道路も石で舗装され、家もレンガ造りのものもあるとのことなので、ある程度技術が確立され発展した都市なのだろう。それ以外にも、人の集まる集落などはいくつかあるが、グラム王国ほど整備はされていないそうだ。

 人が集まれば技術や商業が発展するので、発展したのが1つだけというのには違和感があったが、どうやらこの世界特有の災害-『魔災』と呼ばれるものが原因らしい。

 魔災は、簡単に言うなら一部の魔獣・魔族による災害である。どこから現れるのかは不明だが、数年に一度のペースで突如大量発生・狂暴化した魔獣や魔族が現れ、その土地を襲撃し荒らし甚大な被害を発生させる。

 被害を無くすためには立ち向かうしかないが、立ち向かい無事であった例は1つしかない。

 その唯一の成功例がグラム王国だという。

 グラム王国の成功には、魔獣・魔族に対する事前の対策とそれらを柔軟に使いこなせる指導者が存在したからと言われている。ただ人が多いだけの集団はそれ以外にもあったそうだが、それらはすべて魔災の被害により消滅している。その為、この世界の常識として、魔災の兆候があった場合速やかに逃げられるよう最低限の人と物で集落を作るという考えがあるというのだ。

 何も考えずに国を作るといったが、俺が思っている以上に大きなことだった。なぜなら「国を作るという困難さを知っていながらそれを目標とするなんて、さすがマスター」とルミールがやたらと持ち上げてくるのだ。ゴブリンの姿でよかった。ここまで上機嫌のルミールの称賛を普段の俺だったら、今後の不安とプレッシャーで体調を崩してしまったかもしれん。

 ちなみに、ヒューマンやエルフといった人族以外にも、ゴブリンやコボルトという魔族も集落を作って生活するらしいが、ルミールの認識では意思疎通ができず大抵争い事になるため見つけたら殲滅のが常識らしい。非常に厄介な常識である。この常識により、集落に行って道具を購入するといった対応がまず不可能になったことが問題だ。ゴブリンやコボルトの集落を見つけても、意思疎通ができないのであれば、望みは薄いだろう。

 改めて今後の動きについて悩んでいると、前方の視界が開けだした。どうやら森を抜けたようだ。

 森を抜けた先には地層が何層も重なった、茶色の壁がそそり立っていた。ロッククライマーであればここを登っていくことができるかもしれないが、今の状況ではこれ以上先に進むのは出来なさそうだ。


「森を抜けたみたいだね。ここから西に向かうんだっけ?」

「ああ、そうすれば川にあたるはずだ。そこに着いたら休憩にしよう」


 話しながら歩いていた為気にはしていなかったが、すでに1時間以上歩き続けていた。

 実際に歩いていたら疲れが出始めるタイミングだが、この世界では問題はなさそうだった。さすがゲームの世界。ルミールの様子を伺いつつ休憩の話をしたのだが、ルミールの顔には疲れの表情は出ていない。

 この世界では体が資本なのだろうから、この程度では疲れないのが標準なのかもしれないな。

 川を目指していると崖の表面に光っているポイントを見つける。近寄って触れてみても特に何も発生しなかった。


「やはり、何も起きないか・・・」

「ゴブさん、そんなところに立って、何してるの?」

「ああ、ちょっと何かありそうな気がしたんだが、掘り出せないかと思ってな」

「ひょっとして【採掘】のスキルを持ってるの?」


 ルミールが怪訝そうな顔を浮かべて訪ねてくる。そういえば持っているスキルについて話してなかったな。俺は【採掘】だけでなく【採取】【伐採】のスキルを持っていることを伝えると、すごく驚かれた。


「森での様子で【採取】はあると思ってたけど、まさか【採掘】と【伐採】もあるなんて。なるほど、どうしてマスターがゴブリンを使者にしているか分からなかったけど、納得したよ」

「素材を集めるスキルは珍しいのか?」

「いや、それぞれを持ってる人は多くいるよ。ただ、3つそろって持ってるのは珍しいかな。よかったね、ゴブさん。そのスキルはマスターの役に立ちそうだよ」


 嬉しそうにルミールは話しているが、それは自分の為というかマスターの為になるからという点が理由だろう。

 実際、国つくりの為には素材の調達が必要だが、ルミールにはそのスキルはない。その不安が少しは解消された故の喜びなおかもしれない。まあ、実際素材を集められても俺はアイテムを作れないから、意味はないんだが。


「だが、取ろうにも道具がないから取れないんだよな・・・」

「あれ?スキルを取得した時に、神様から受け取らなかったの?」


 神から受け取る?どういうことだ?

 詳しく話を聞くと、新しくスキルと取得すると基本的な道具を神様から受け取ることができ、気が付くと自分の手元にある置いてあるそうだ。

 まあ、実際は神様というのは運営のことで、突然現れるアイテムを納得させるためにNPCには贈り物として認知させているのだろう。

 自分のステータス欄からアイテムを開いて確認してみると、確かにあった。


 ピッケル ☆1

 ・【採掘】で使用する普通のピッケル。売却・譲渡不可


 手斧 ☆1

 ・【伐採】で使用する普通の手斧。売却・譲渡不可


 品質は最低値だが、確かに受け取っていた。うん、これからは適度にアイテム欄を確認するようにしよう。

 ピッケルをアイテム欄から取り出し、手に持つ。サイズは俺が扱うにはちょうどいい大きさだが、普通の人が持つと小さそうだな。ここら辺は持つ人によってサイズが自動で変わったりするのだろうか?


「なんだ、あるじゃない。それを忘れるなんてどうかしてるよ」


 ルミールが白い目で俺を見てくる。まあ、今のは俺が悪かったわけだから何も言えないけど・・・。

 それにしてもアイテムを取り出した際に、何もない場所から出てきたわけだが特に驚かなかったが、これもこの世界では当たり前なのだろうか。

 試しに採掘作業をするときに聞いてみたが、どうやら当たり前のことで、人族でも魔族でも使用する。なんでもしまい込むことはできないが、両手で持てるサイズなら収納でき、その数は人によって差があるらしい。

試しにルミールの持っているものを見せてもらったが、【調合】で使用する器具と数日の食事などがあった。


「これで、採掘は終わりだな。出てきたのは・・・未鑑定品か」


 【未鑑定品】謎の石

 ・用途不明の石


「ゴブさんは、鑑定しないの?」

「ああ、俺は鑑定のスキルを持ってないから・・・って、ルミールは確か持ってたよな」

「持ってるけど、ここでするにはちょっと・・・。川に着いたら見てあげるよ。行こう、ゴブさん」


 未鑑定品が何かが気になるが、確かに落ち着いた場所で鑑定したほうがいいか・・・。

 仕方なく、手に持っていたピッケルを戻しこん棒を手にルミールを追いかけた。

次回は、月曜日更新予定です

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