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自分の世界を作ろうーLet's making my world  作者: でぃく
プロローグ-現実からゲーム世界へ
2/15

P-2 ゲームのプレゼン

今回も現実での話です。

ゲーム設定の説明です。

「やほ~待ってたよ、ミヤ、こっちこっち~」


 ゆるふわ天然パーマが掛かった眼鏡をかけた白衣の男がこっちに向かって手招きしている。

 あれから断ろうとしていたんだが、結局はコイツの思い通りに動いてしまった。

 あんな気になる引っ張り方されたら来ない選択肢はないだろ、せっかくの三連休がもやもやした気持ちで過ごす羽目になってしまう。

 聞くだけ聞いたらさっさと撤収して休日をエンジョイしよう。


「いつも思うけどなんで白衣なんだ?ユウ」

「いや~ウチの会社ってスーツじゃなくてもいいんだけど、そうなると何着ればいいのかわからなくてね~。だから?」


 間延びした話し方で俺を迎え入れたのは、八島やしま 裕太ゆうた

 俺と同い年の男性がこんな話し方してたらかなりイライラするだろうが、かなりの童顔+中性的な顔立ちにより実年齢より若く見えるせいか、それほど不快感を感じさせない。

 それにやる気のない話し方であまり覇気がないように感じられるが、これでも今回のゲーム開発の責任者だというにだから驚きである。

 しかも、美人の奥さんを持ち、本人曰く子供はいないがラヴラヴだというので、はやく爆発してほしいものだ。


「ここで立ち話っていうのもなんだから、会議室に案内するよ~。準備してるからゆっくりしていけばいいよ~」


 そういうと、ユウは受付をスルーして中に入っていく。

 俺の受付をしなくてもいいのかと聞くと「すませたよ~」とのこと。相変わらず事前準備に抜かりはないな。

 そのままエレベーターでユウの勤める会社のオフィスに到着する。

 どうやら1フロア丸々貸し切っているようで、ここで改めて受付を処理する。その際にこれから話す情報漏洩を防止する誓約書にサインを書かされた。

 まあ、自社のHP上ではある程度情報を流している程度で、まだテスト段階みたいだし必要な処置だろうな。

 その後、準備してあるという会議室に案内される。そこには会議室にお決まりの椅子と机以外にリクライニングシートとフルダイブ式VR機器一式がおかれていた。


「おい、このゴーグルとかって・・・」

「あ、やっぱり気になっちゃう~?でもその前に僕の話が先だから、ちゃんと聞いてね~」


 ユウは壁の一角を操作すると、室内の明かりは落とされ壁一面に画面が表示された。最新のプロジェクターとかの類だろうか?ウチの会社の古い箱タイプとは大違いだ。

 準備ができるとユウは俺に向かって頭を下げ映し出された映像と共に説明を始めた。

 ユウの動きに合わせて映し出される項目が出たり消えたりしている。かなり昔に見た某電子機器メーカーの社長が行ったプレゼンのようだ。

 俺一人に大がかりすぎないか?と思ったが、話している内容については、今回のゲームテスターに向けて作成している内容を説明しているだけのようだ。


 今回、ユウが開発を進める新作ゲーム『My own World』は、自分だけの世界の作成をコンセプトに立ち上げられたゲームらしい。

 フルダイブ式VRゲームは今の自分とは違う、あったかもしれない経験を限りなくリアルな感覚で味合わせてくれるものであるが、自分の理想と同じ経験を味合わせてくれるものではない。

 それは、フルダイブ式VRゲームの多くはMMO(大規模多人数同時参加型オンラインゲーム)の形式をとっているためだ。

 これにより、自分以外の多くの第3者が存在するという時点で、その世界の上位プレイヤーになれる確率はかなり低くなる。

 上位プレイヤーになる為には、ゲーム操作の技量の向上や効率の良いシステムの開発、あとは強大な運が必要となる。

 それらがない人たちは時間を消費し、俗に言う廃人プレイ-ゲームを中心に置いた現実世界での生活を行うしかないが、この行動は社会問題としてニュースにたびたび取り上げられている。

 そもそも、ちょっとゲーム好きくらいの社会人の場合、プレイ時間がとれないことを理由に敬遠しがちで、ゲームの新規参加者が若者しかいない状態になり、フルダイブ式VRゲームのタイトルが業界の中ではすでに飽和しかかっているそうだ。


 そこでユウが目を付けたのは、俺のような会社などの都合で時間が取れない社会人だ。

 それらの層をターゲットに、わずかな時間でも少しずつ進められ、理想の体験ができるゲームを作ろうとしたのが今回のゲームらしい。


 しかし、その目的の達成にはいくつもの難点がある。そもそもが理想の自分というのは人によって違い、何を求め何を達成すれば喜びになるのかなど、その人に合わせた調整をゲーム会社がやることはまず不可能であること。

 そして、仮にそれが出来たとして、今ある家庭用ハードウェアでフルダイブ式VRゲームを動かそうとした場合、処理速度が間に合わず快適なゲームプレイなど不可能であり、実現しようとするなら巨大なスパコンを設置する必要があることなどがあげられる。

 まあ、これがフルダイブ式VRゲームがMMOとしてしか流通していない原因でもあるんだが・・・。


 技術的な問題は以上だがそれ以外にも金銭的な問題がある。

 単純な需要と供給のバランスである。

 現在フルダイブ式VRゲームに参加している多くは現状に満足しているらしく、自分でゲームを作ってまでやりたいかというとその割合は極々少数である。

 そして新規参加者として社会人を見越しているとはいえ導入までにかかる費用が膨大になると、その費用を払ってまで参加したい人は少ないだろう。

 既存と新規プレイヤーの両方から参加者が見込めないのであれば開発にかけるコストに対しリターンが少なすぎる。

 技術と金銭的な面での不利を解消した結果、MMOの形式を採用しつつプレイヤー理想をかなえるということに行きついたらしい。

 ・・・このままだと従来のものとはどのように違うかわかりにくいが、プレイヤーを『理想を叶える舞台を作る制作者』と『制作者が作った舞台で遊ぶ参加者』に分け、制作者としては『自分の理想を叶える為に』、参加者として『従来のゲームと同様に遊ぶ為に』という2つのグループに分けたようだ。

 こうすることで導入に必要な各種ハードは従来のものと同程度に抑えられ、参加の裾野を広くすることができるとのことだ。


「だけど、それでも問題はあるだろ。素人が作ったゲームを金を払ってでもやりたいと思うか?」

「そうだね~、だから僕たち運営としてもゲームの世界を作るよ~。そうすれば基本的なプレイは僕たちの方でしてもらって、別の刺激が欲しくなったら制作者の方に参加するって形もとれるからね~。ちなみにメインは制作者たちだから、参加者の方から調達する月額費用は他のゲームに比べて少しだけ割安にするつもりだよ~」


 制作者と参加者の利用料は違うのか、まあそれは仕方がないだろうな。作りたいと思う人より、ただ遊びたいという人のほうが多いだろう。


「それで、どうやって自分だけの世界とやらを作っていくんだ?いくら素材を提供するといっても、一人で設定していくのはかなり無理があるぞ」

「お~興味出てきた感じだね~。それについての説明を今からするよ~。まあ、簡単に言うと最新AIにお任せって感じだよ~」


 基本的に制作者のこだわりがない部分、NPCや町や村・ダンジョンなどのフィールドMAPについてはほぼ自動で作成し、制作者のサポートAIが制作者の趣味嗜好を学習し、なんとオフライン状態でもAIが判断して制作者の理想の世界を作っていくということだった。

 確かにAIにお任せだな。俺が昔遊んだゲームツクールシリーズでは一つ一つ設定していたから、それと比べれば非常に楽だ。

 とはいえ、一応制作者側にも制限はかかるらしい。

 例えば家を建てるのでも素材をゲーム内で調達または運営から購入する必要があり、サポートAIが自分で判断しとってくることもあるが基本的にはすでに行ったことがある場所からしか調達できない為、自力でのゲームプレイある程度必要だそうだ。

 ちなみに運営からの購入は、ゲーム内通貨や課金での購入を想定しているそうで、制作者としてはツクール系のゲームというより、ダンジョンの設置やクエストなどのイベントも設定できる街つくりゲームといった感じだろう。


「以上で僕からの説明はお終いだよ~。ご清聴ありがとうございました~」


 再度こちらに頭を下げるユウについつい拍手を送ってしまった。

 悔しいが、それくらいには興味をそそられたのだ。

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