退屈で冗長だが永遠ではない
目覚めると朝…ではなく昼過ぎくらいだった。
「………」
おはよう、月曜日ちゃん。
「……うむ、おはようなのじゃ!お主様!!」
僕の顔をじっと見つめていた月曜日ちゃんは、声をかけるとニコリと微笑んで挨拶を返してくれるのだった。
「鼻血はだいじょうぶそうじゃな。急に倒れるから心配したのだぞ?」
一応腕組みをして眉を八の字に曲げているけど、顔は満面の笑みだ。
うん、ありがとう月曜日ちゃん。
「うむ……それでな?起き抜けに早速で申し訳ないのじゃがその…お主様に話さなければならないことがあるのじゃ」
おずおずと月曜日ちゃんは話し始めた。
「我らの正体についてじゃ」
✳︎
わたしたち『悪魔』にも格がある。
6人のお姉様は父様から作られた正真正銘の本物。いくら彼から力を与えられても器から溢れることはないし、ほんの少しの力で長生きできる。
だけどわたしは……
『お前と一緒にするな!!』
月曜お姉様の言葉が脳内で未だに響いていた。
そう、わたしは違う。お姉様達の残滓をヒトが解釈し再構成したモノにすぎない。
だから生きるために毎週力をもらわなければならないのだ。
彼が鼻血を出して突っ伏していた時、わたしは血の気が引く思いだった。だって彼がいないとわたしは、死んでしまう。
「死にたくない」
ふと呟いた。
彼のまどろみの中に潜み、わたしが死なない程度にだけ力をもらっていたはずなのに。
彼と楽しく暮らすお姉様達が羨ましくて。
ただ羨ましくて。
だから口付けをしてしまったのだ。
あの瞬間からわたしは抜け出せなくなった。
もう戻れなくなったんだ。
✳︎
悪魔……?それに日曜日がついさっきまでいたって本当なの?
月曜日ちゃんが僕のベッドにぺたんと座りながら、真面目な顔で頷く。
「いかにも。我らは父様から生み出された『悪魔』じゃ。天地創造の神話は知っておるな?」
あぁ、神が6日間で今の世界を形作ったとかいうアレ?
「そうじゃ、その通りじゃ。その概念とともに生まれたのが我ら月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日……そして土曜日じゃ」
月曜日ちゃんは悲しげに目を伏せる。
土曜日……彼女の行方も気になるところだ。
月曜日ちゃん……。
呼びかけると月曜日ちゃんは顔を上げ、ニコリと微笑んだ。
「うむ、すまぬ。……我らは父様に生み出された当初、『精霊』と呼ばれておったんじゃ。しかしある時を境に『悪魔』となってしまった」
それは……日曜日が生まれた日?
僕の問いかけに月曜日ちゃんは重々しく頷いた。
「……日曜日はあとから生み出された存在でな。天地創造の七日目という概念に宿る『精霊』のはずじゃった。だが『精霊』に重要な宿るための概念がな、七日目は不足しておったのじゃ」
聖書によれば、確か七日目は神が世界の創造を宣言した日……だけど。
「そうじゃ。そして、それだけの日でしかないんじゃよ。だから日曜日は元来不完全で、とても弱い精霊だったのじゃ。それを……」
月曜日ちゃんがまた悲しげに微笑んだ。
精一杯の強がりのように僕には見えた。
「ヒトが変えてしまったのじゃ。世界が6ではなく7で回るよう、強引に日曜日をねじ込んだのじゃ」
一呼吸置いて月曜日ちゃんは続ける。
「7は不吉な数字での。そのことで我ら7つの精霊はそれぞれ一つ罪を与えられ、悪魔と成り果てたのじゃ」
どうしてそんなことに……?
思わず問いかけた。月曜日ちゃんは俯いたまま首を横に振った。
「我には分からぬ。何故あの時、ヒトがそのようなことをしたのか。だがもしかすると……父様と同じように、父様の被造物たるヒトもまた、休息を欲していたのかもしれぬな……」
と、月曜日ちゃんがベッドからぴょんと飛び降りて、僕の隣の床にストンと座った。
「えへへ…やはりこちらの方が我は好きじゃ」
ギュッと腕を抱かれる。
げ、月曜日ちゃん……
月曜日ちゃんは悪戯っこのようにニヤリと笑った。
「んー?なんじゃ〜?照れておるのかぁ??まぁ無理もない、我はなんたってお主より何倍も『お姉さん』じゃからの〜〜?」
月曜日ちゃんはえらく満足げである。
まぁ確かに約400歳って言われるとお姉さんであることは間違いないんだけどさ!!
ただ……
月曜日ちゃん、『お腹』が腕に当たってるんだけど……
「いや当ててんのよ……ってお腹じゃない!!胸じゃ!!!」
「失敬な!!」と怒る月曜日ちゃんは、少しだけいつもの月曜日ちゃんに戻った気がした。
「我のデレ回……長かった……」
比較的毎回デレてます。




