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夢想のその先へ

 


 まぶたの奥で様々な色の光が点滅する。

 暗闇から徐々に白い世界が現れ始める。

 ……ああ、この感覚は。

 日曜日が来たんだと脊髄反射的に理解できてしまった。


「おはよう。いえ、こんばんは、の方がまだ正しいかしら。とにかく一週間ぶりね。だいぶ待ちくたびれちゃったわ」


 今日の日曜日は、ピンク色のワンピースを着ている。前回の灰色で毛玉だらけのジャージ姿とは大違いで、印象もガラッと変わっていた。

 ザックリと雰囲気が明るくなっている。

 ただ、気怠げな表情だけは変わっていないようだった。


「さ、今日のノルマを達成しなくちゃね。はぁいお口、あけて?」


 そう言って近づいてくる日曜日から慌てて距離を取る。

 それを見た日曜日が不思議そうに首を傾げる。

 前回はキスでうやむやにされたが、今回こそは色々と話してもらわなければ……


 ここは夢の中、なんだよね?


「……そうだよ、ここは君の夢の中」

 少し離れた所にポツンと立っている日曜日が答えた。


 じゃあ僕に日曜日の記憶がないのはどうして?


「日曜日だけは一日中眠っているからね、君は。整合性をとるために、幼女の私と遊んでいる偽の記憶を植え付けたりはしたけど」


 そこで僕に一つの疑問が生まれる。

 ……何故幼女なんだ……。


「いや、引っかかるのはそこじゃないと思うけど」


 呆れた表情で日曜日が冷静なツッコミを入れる。いや一番引っかかったのはそこなんですけどもね、ええ。


 じゃあ……


「ねぇ〜もういいじゃない。そんなことよりはやく、しよ?」


 次の質問を言いかけた僕の声を遮るようにして日曜日がそう言った。


 途端に体が指の一本に至るまで動かせなくなる。……どうなってるんだ?これは僕の夢の中って話なのに。


「君自身が望んでいることだからだよ。君が望めば、あの小さな月曜日も、食いしん坊な火曜日も、可憐な水曜日も、おおらかな木曜日も、小悪魔な金曜日も、ツンデレな土曜日も、そして私のことも……好きなようにできるんだよ」

 トロンとした深紅の眼で日曜日は僕の目の中を覗き込んできた。

 視線が交わる。

 まばたきすらできずに僕は日曜日の目を見続けるしかなかった。


「こうして迫られるのがすきなんだよね、君は。いいよ、キス、しちゃおうか」


 日曜日の整った顔が近づいてくる。それと同時に彼女は体を密着させ、僕のうなじに細い指を這わせた。そして自然に、まるで最初からそうだったように2人の唇を合わせた。


「ちゅ、ちゅっ……」

 軽く唇を合わせるフレンチキス。しかし合わせるたびに僕の背筋にはゾクゾクとした感覚が走った。


「ん……ひた、ひれるね?」

 呼吸の合間に日曜日がそう言った。

 その瞬間日曜日の舌が僕の口をこじ開けるようにして入ってきた。


「んっ……ぢゅるっ…はぁはぁ……ンンッ……」


 それからしばらく、僕たちはキスし続けた。

 そして体感的に15分くらい経ったころ、ようやく日曜日は唇を離したのだった。


「はぁ……やっぱさいこーだね、君とのキスは。」


 ……どうして毎回キスするんだ。


「いずれ分かるよ。というか、もう分かってるんじゃないの?『私達』の正体も含めてさ。まぁ気付かないフリするんならそれでもいいけど。とりあえず、ゴチソウサマデシタ」


 ぺこり、と日曜日は頭を下げてお辞儀した。

 視界がぐにゃりと歪む。


 待って…!まだ聞きたいことがあるんだ!


「なぁに?」


 視界の歪みが大きくなっていく。それでもなんとか声を絞り出した。


 土曜日が帰ってこなかったんだ!!何か知ってることはないか?!


「ふーん、あの子消されちゃったんだぁ。ノルマ達成出来なかったんじゃない?知らないけど」


 興味なさげに日曜日が答える。しかしすぐに蕩けた表情になるとこう言った。


「また来週も待ってるね」


 そして僕の視界は再び暗転した。




今回のサブタイトル、原案は「夢○のその先へ……」だったんですけど下品なので没にしました。


嘘です。

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