はなきん
花(華)金という言葉を知っているだろうか——?
花(華)の金曜日、略して花(華)金とは週休2日制の導入によって土曜日の出勤を気にせずに、夜遅くまで楽しめるようになったことから使われ始めた言葉である。
そう、そして今日こそは金曜日。
はなきんなのだ———ッ!!!
ただし現在の時刻は朝……!!圧倒的朝………!!!
学校行きたくないぃぃ!!!!!
いくら天下のはなきんと言えども、金曜日は平日。
正確には『花の金曜日(夜18時以降)』なのだ。
「セーンパイ?遅刻しますよ?」
薄紫色の髪をサイドテールにして束ねた金曜日が、部屋のドアの影からヒョイと顔を出した。
布団にくるまったままの僕を見ると、ニヤリとしてこちらに近づいてきた。
「センパイは甘えんぼですねー?またアレが欲しいんですか?」
アレ……?アレってなんだ?
金曜日が妖艶に微笑む。
薄桃色の唇をペロリと舐めた。
「とぼけるんですね。アレ、と言ったらアレですよ。ちゅーちゅー♡と一生懸命センパイが吸うアレです」
何かをしゃぶるような仕草をする金曜日。
彼女の着ているジェラートピケのパジャマの隙間から、白い胸元がチラリと見えて、僕は思わず目を逸らした。
ぼ、僕はそんなもの知らないぞ!
心臓を激しく波打たせながら、僕は確固たる意志を持って彼女にそう宣言した。
「私……センパイならイイですよ?恥ずかしがらなくても大丈夫です。みんな子供の時はちゅーちゅー♡吸いますから……ね?」
そう言って金曜日はモコモコのパジャマを脱ぎ始めた。
ちょっ、ちょっとすいません金曜日さん!?
ここノクターンノベルズじゃないんですけど!!
金曜日さん聞いてます?!!
金曜日は着ていたパジャマを脱ぎ捨てると、白い柔肌を僕の目の前にさら……さなかった。
「ふーあっついですねーこの部屋?換気してますかこれ?」
金曜日は窓の方へ歩いていくと、ガラリと窓を全開にした。
彼女のパジャマの下には、水着姿の女性がプリントされたTシャツがあった。
ま、紛らわしい……。
「やっぱこんな暑い日にはコレですよね、コ・レ!」
そうやって振り返った彼女の両手に握られていたのは、チューペット、だった。
あぁ……ちゅーちゅー吸うよね……子供の時ね……
分かってたからぁ!!
「せ、センパイ泣くほど嬉しいとは予想外ですけど……」
金曜日はグレープ味とリンゴ味のチューペットを持っていた。
「んー?センパイはどっちがイイですか?」
首を傾げながら金曜日が聞いてくる。
僕は……グレープかなぁ。
「えー私もグレープがイイですぅ!!あ、やっぱり私たち気が合いますね♪って、そうじゃなくて!!」
おぉ……一人でツッこんどる……
金曜日がポンと何か思いついたように手を叩いた。
「そーだ!!半分こしましょう!!」
半分こか……あのヘタの部分の取り合いになるんだよなぁ……
そう思いつつも、金曜日の提案にうなずく。
「えへへ、じゃあどっちも半分こということで!」
金曜日はグレープとリンゴの両方を半分に折ると、片方ずつを僕に差し出した。
溶けかけていたので、素早く両方を少しずつ舐める。
口の中に甘さが広がった。
朝から食べるチューペット最高だなオイ。
「センパイ、美味しいですか?」
うん、美味しいよ。
そう言うと彼女は金星の眩い輝きのように笑った。
「良かったです!!」
ちなみにヘタの部分は両方とも金曜日に取られていた。
「またちゅーちゅー♡しましょうね……」
ちゅーちゅー(意味深)




