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異世界でただ一人の幽霊と魔女  作者: 山海巧巳
外伝:人と世界とを繋ぐ物語 part1
44/123

【外伝】最北の町の衛兵の青年【帝歴713年】

「こんにちはージョアンさん」

「あぁ、こんにちはシャオリーさん。今日も薬ですか?」

「はい。それと食料の買いだしを」

「そうですか、確か南の市場でいいお肉が出ていたって同僚が言ってましたよ」

「へぇ、お肉ですか。何肉かな? 行ってみますね。ありがとうございます」

「お気をつけて!」


 馬車に乗った女性を送り、誰も居なくなった門を閉じる。

 彼女はヴィ・シャオリー。深霧の森の魔女様の弟子になった女性。

 深霧の森の魔女様は僕が子供の頃からずっとあの森に住んでいる魔女様。

 衛兵の仕事に着いてから時折森から出て薬を卸してくれていた。

 僕らもその薬には厄介になることが多い。


 このタルタスはアルリオン神王国の最北端にある町だが、実際は魔獣被害も多く、試練の塔のおかげで外から来る人も多い。

 外縁の魔獣退治、森からはぐれた魔獣の討伐、町の治安問題等衛兵のする仕事は多岐にわたる。

 僕なんかは門番をほぼ専門でやってるから外縁の魔獣退治くらいにしか出ないけれど。

 それでも怪我をすることは多いが、そんな時に御世話になるのがベルガモッド店のポーション薬草の類だ。

 あそこはタルタス、いやアルリオン神王国一と言ってもいいくらいにいい性能の薬を置いてくれるから重宝している。

 しかも店主の御婆さんが作ったものだけじゃなく、森の魔女様の御手製の薬は効き目も効能も抜群で入荷すれば数日で品切れになるほどだ。


 そんな魔女様が弟子を取られたのが1年も前のこと。

 あのシャオリーさんが魔女様と一緒にタルタスに来た時のことは覚えている。

 最初は緊張していたようだったけど、だんだんと慣れて来たようでしばらくしたら一人で馬車に乗って薬を卸しに来るようになった。

 僕なんかは門番だから、通る時と出る時くらいにしか会わないけれど、もう少しお話を聞いてみたいなって思うこともある。


 ◆


 次の日、今日は非番で久しぶりの休暇を貰ったので町をぶらぶらしているとベルガモッドの前に来ていた。

 そう言えばこの前の魔獣退治の仕事でボアボアを狩った時に薬を使い切ってしまったんだった。

 支給された薬もあるけどやはりここの薬は持っておきたいし買い足しておくか。


 カランカランと入口のベルが鳴り中へと入る。


「いらっしゃいませー探しものですか? あれ? ジョアンさん?」


 店のカウンターで座っていたのはシャオリーさんだった。

 一体どうして?


「シャオリーさん? あれ、どうされたんですか? 確かに昨日入場して出ては居なかったようですけど」

「あぁ、昨日はミリー、あ、ミリエーヌの部屋に泊まったんですよ。カリエさんも王都へ買いだしに行って一人切りだっていうので。それで今日は私が店番をして彼女を自由にさせてるんです」

「そうでしたか。ご苦労様です」

「いえいえ、ジョアンさんこそ、何かお探しだったんじゃないですか?」

「あ、そうでした。ポーションの類が切れてしまって。買い足しておこうかと。ここの薬は効果がいいと評判なんですよ?」

「なるほど……そうだ、でしたらこれとかどうですか?」


 シャオリーさんが取りだしたのは数本のポーションの瓶だった。


「これは?」

「私が作ったポーションです。右から体力回復、滋養強壮、解毒、マナ回復が2本ずつ」

「へぇ~シャオリーさんが!」

「えぇ、私が練習で作ったものなんですが、店には卸せないので自分用に持ってるんです。いかがですか? お金は要らないので是非使ってください」

「え、そんな悪いですよ! お金支払いますから!」

「いえいえ、本当に。効果も師匠の物ほど高くないですし……そうだ、これを使っていいなって思ったら今度私が作ったちゃんとしたもの、買ってください! それならいいでしょう?」


 いい考えを思いついた、って笑顔でそんなことを言われたら、断りきれないじゃないですか……


「……分かりました。これは使わせていただきます。こんど正規品を買わせていただきますので、よろしくお願いします」

「ありがとうございます! いやー私ほとんど使わないので使ってくれる人が居てよかったです」


 シャオリーさんはそんなことを言いながら瓶を箱詰めしていく。

「体力回復」や滋養強壮、解毒とかは使いそうだけどマナ回復ポーションか……

 僕は魔法使えないしなぁ。

 確か同僚にマナを使う技持ってる奴が居たはずだし、彼に試してもらおうか。


「あ、ジョアンさん。良かったら効能どんな感じだったか今度教えてくださいね?」

「分かりました。次回お越しになる際には滋養強壮とかは使いそうですしお答えしますよ」

「助かります」


 シャオリーさんの笑顔に見送られてベルガモッドを後にする。


 その後、貰ったポーションがすこぶる効果が高く、分け与えた同僚も含めて、僕らは彼女、シャオリー製ポーションの愛用者となった。


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