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異世界でただ一人の幽霊と魔女  作者: 山海巧巳
第四章:エルフと魔王と魔導王国【帝歴716年】
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幽霊と強襲と作戦会議

 アルスレイン滞在最終日の早朝、私達は大きな地響きと共に起こされた。


「な、何?!」


 継続して起こり続ける地響きは浮いて影響を無くし、

 寝巻にしていたジャージの上からローブを羽織って魔女服モードに着替えて玄関ロビーへと向かう。

 そこには師匠やアーネ達仲間が皆集まっていた。ルサイスや他の兵の人も何人か居る。


「師匠、さっきから響いてるこれは……」

「分からない。でもルサイスが今確認に人を送っている所よ」

「あぁ。森の外八方へ確認を送った。足の速い者達だ。もうすぐ帰って――」


 バン!


 その時ちょうど玄関の戸が勢いよく開いた。

 肩で息をする数人のエルフが飛び込んできて、大声で報告する。


「りょ、領主様へ報告! 北西よりワイルドファングボア及び獣型の魔獣の群れ多数接近!」

「同じく! 西側よりグランドキャタピラーを筆頭に昆虫型魔獣の群れ多数! 中には飛行型も確認しています!」

「こちら南西側から超大型の魔獣が接近! 種別は判別不明!」

「……なに?」


 ルサイスが報告を聞いて目を見開く。

 他の面々も同様だ。


「おい。今の報告、確かか?」

「はい! 東側に散った者からは異常なしと途中で言伝を窺っています! 異常があるのは西側……魔都の方からです!」

「…………チッ! 魔王め、このタイミングで実力行使に出て来たか……」


 ルサイスが苦虫を噛み潰したような顔をして悪態をつく。


「急ぎ会議を開く! 第一から第三の指揮官は会議室へ来い! シュリット、お前は領民へ避難を促せ。東側へ集めて街道を抜けれるよう馬車の準備だ!」

「「「ハッ! お供します!」」」

「かしこまりました。直ぐに手配を」

「済まないがシュナス達も来てくれ。貴方達の力が必要だ」

「えぇ、もちろん」


 ルサイス、師匠に続いて会議室の方へ集まる。

 会議室は部屋の中央に縦長のテーブルが置かれ、その上にこのアルスレイン周辺の地図が広げられている。

 参加者はルサイスと指揮官として呼ばれたエルフ3人、リーエン、私、師匠、ドリー、ルル、サリファ、アーネ。


「さて、軍議を始める。敵は十中八九魔王の配下。まさか魔獣を操ってくるとは思わなかったが……」

「問題は魔獣どもがいつ到着するかですね……避難が間に合うといいのですが……」

「あ、ちょっと待っててください」


 スッと私が手を上げるとみんながこちらを振り向く。

 そんな見られると恥ずかしんだが……と、そんなこと言ってる場合じゃない。

 眼を閉じて身体の内側へと話しかける。


(エアリス)

『はいはい。分かってるよ。地脈と魔法陣で感知出来ないか、でしょ?』

(うん。出来る?)

『大丈夫だよ。マスターが展開した転移魔法陣があるからね。転移魔法陣を経由して地脈のマナを送って風の精霊達に聞いてみた。というか、向こうから教えてくれたよ』

(へぇ。なんて?)

『えっと、要約すると今からくる魔獣はどれもこれも嫌なマナ、暗黒マナだね。それを含んでいるらしくて、住処を追われて逃げて来たんだって。この街に着くまでの時間は……』


 エアリスから計算結果を聞いて眼を開けるとみんなと眼が合った。

 ずっと見てたのか……まぁいいか。


「確認しました。北西の魔獣軍団は速度が速く、一番早くに到着します。森の沿岸には既に先遣隊が到達。あと1時間もすれば先頭が街の防壁へ接触するよ。西側の昆虫軍団は足が遅くまだ森に入っていない。でも飛行型も居るし森の中に入られると昆虫型は厄介ね。南西から来る大型魔獣は1体。性質は……雷だそうよ」


 一気にエアリスから説明されたことを話すとエルフの指揮官達は口を開けて驚き唖然としていた。

 私の仲間たちやリーエン、ルサイスは一瞬呆けたが直ぐに正気に戻る。


「なるほど。状況は分かった。森の中での戦闘は我らエルフに地力がある。直ぐに動かそう。第一から第三までの部隊は直ぐに北西へ軍を集めろ。揃った部隊から前進。指揮は私が現地で取る。第三部隊は前進せずに防衛だ。いいな?」


 ルサイスの問いに呆けていた指揮官達は佇まいを直し、敬礼する。


「「「はッ!」」」

「済まない。疑問もあると思うが私が彼女達を信頼している。今は私を信じて動いてくれ」

「いえ、申し訳ありません。彼女達のことを疑っていたわけではないのです。我々もここ数日、知り合う機会もありましたから。それに、姫様を助けて頂いた方々ですから。直ぐに取り掛かります!」

「もう! 姫様はやめてって!」


 指揮官の言葉に憤慨するリーエンだが、そうか、身内からは姫様呼びか。

 領主の妹だからか? ルサイスは王子様っぽいもんなー。

 彼らは会議室を出て駆けていく。


「数百は居るらしいな。だが、うちの兵も負けては居ない。向こうは任せてもらおう」

「と、いうことは私達は昆虫たちと大型と戦えばいいのね?」

「済まない。能力を見る限り、森に入る前の昆虫と大型は君たちの方が得意そうだと判断してね」

「まぁこっちには大型キラーのシャオが居るから、ね?」


 師匠がウィンクを飛ばしてくる。

 好きで大型ばかり相手しているわけじゃない。


「はぁ、まぁ私が大型に行くのがベストですかね。それにしても、"雷"の魔獣……」


 つい最近聞いたばかりだからか、嫌な予感がする。


「うむ。その予想は概ね当たっているとみるべきだろう。符号が一致しすぎている……」


 ルサイスも同じ考えのようだ。


「雷獣のデトロイト……」


 魔王に従っているという四英雄の一人……

 昨日の夜の師匠の言葉が脳裏に浮かぶ。


 "貴方、"人"を殺せる?"


 "人"は、分からない……でも、魔獣が相手なら……


「あれが四英雄の雷獣とすれば、デトロイトは魔獣使いということだろう。魔獣使いはそこまで離れることは出来ないはずだ。近くに居たら捕縛を頼みたい」

「……はい。"捕縛"ですね」

「…………」


 捕縛という言葉にホッとする。

 ふと横を見れば師匠は何も言わずにこちらを見ている。

 大丈夫ですよ。私は、やれます。

 そう、眼で伝えてみると、伝わったのか師匠は再び前を向いた。


「じゃあ、大型……もう暫定で雷獣って言うわね。雷獣はシャオに任せるわ。貴方の性質上、一人の方がやり易いと思うから。だから私達は森の外、昆虫たちの担当ね」

「昆虫型魔獣かぁ。あまりやったことはないが、まぁ、なんとかなるだろう。私の斧で真っ二つさね」

「油断大敵ですよアーネさん。キャタピラタイプは甲殻持ちで硬いのも居ると聞きます。魔法で援護しますから前に出すぎないで下さいよ?」

「はいはーい! あたしはアイン達で牽制したり囮したりしますね! あ、でも飛行型はどうしましょうか?」

「なら、私に任せてくれないかしら? 遠距離なら私の精霊弓の出番よ。本当は大型魔獣の方に行ってみたかったけど、適材適所って奴よね。問題ありますか? お兄様」

「……止めたい所だが、既にお前はシュナス、いや、シャオリー達の仲間だ。仲間に判断を仰ぎなさい」

「だって! いいわよね?」

「えぇ、もちろん」


 グッ! シュッシュ!


 ドリーが握りこぶしを作ってシャドーボクシングをする。

 やる気マンマンってところね。


「よし。じゃあみんな気を付けて」

「シャオリー、大丈夫?」

「大丈夫ですよ師匠。私、死にませんから」


「……身体の心配じゃないんだけど」


「? 何か言いました?」

「いいえ。なんでもないわ。貴方も気を付けて」

「はい」


 軍議を解散し、一旦部屋へ戻る。

 せっかくの大規模戦闘、準備した新しい魔法を試すチャンスでもある。


「エアリス、準備は?」

『万端よマスター』

「よし。敵は雷獣。気合入れていくわよ!」

『オッケーマスター!』


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