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異世界でただ一人の幽霊と魔女  作者: 山海巧巳
第四章:エルフと魔王と魔導王国【帝歴716年】
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幽霊と準備と魔陣書の更新

「まぁいい。リーエン。好きにしろ。彼女達の邪魔はするなよ」


 ルサイスはそう言ってため息一つ吐いた。


「さて、すぐに動いてもらいたいがこちらにもバックアップの準備もある。それにここまで動き続けて来たのだろう? 部屋を上の屋敷に用意してある。そうだな、3日以内には準備を終わらせるように通達しておく。身体を休めて依頼の準備を進めてほしい」

「あ、一ついいかしら? ここの地下に祠を作らせてほしいのだけど場所を貸してもらえない?」

「祠? ふむ、一応理由を聞いておこう」

「私が転移するため、そしてドリーに深霧の森のマナを与えるために必要な魔法陣を設置したいの。ここはこの領地の中央付近だし、地下に部屋があるのも都合がいい理由だけど、一番安全そうだから」


 ルサイスは顎に手を当てて少し考えると


「なるほど。それが必要であるならば設置してもらって構わない。そうだな、この部屋ではどうだ?」

「この部屋は魔法陣がすでに設置されているし、別の部屋の方が干渉しないと思う」

「そうか。ならば隣の部屋を使うといい。空き部屋で今のところ、倉庫にでもしようかと考えていた部屋だ」

「ありがとう。さっそく設置させてもらうわね」

「あぁ。部屋についてはシュリットに聞いてくれ。では私はこれで」


 そう言ってルサイスは部屋を出ていく。

 残された私以外はひとまずシュリットさんに案内されて上へ登って行った。


「さて、とりあえず祠を設置しましょうか」


 指定された隣の部屋は本当に何もない、ただの石造りの部屋だった。

 倉庫に使おうとしていただけあってそこそこに広いが、祠はそこまで大きくない。


「とりあえず部屋角にでも設置しますか。設置素材は残ってたわよね……」


 ゴソゴソと腰に括り付けたバッグから素材を取り出す。

 闇属性魔法を使って作ったマジックバッグ。

 特性は遠隔地へのゲート作成。

 このバッグの先は深霧の森にある大樹の家の私の部屋。そこの収納箱に繋がっていて、そこからいつでも取り出せる。

 限界量はあるけど使い勝手がいい魔法だ。

 魔法ギルドで空間を繋ぐ魔法を何度も見て覚えたかいがあるというもの。


 そんなことを考えながら慣れた手つきで祠を作っていく。最後に要石を設置して完成。


「大地に還り、大地より生まれ、巡り、廻る力の輪。今ここに束ね、未来(あす)を繋ぐ道を照らせ。我臨むは大地の道。行く道、往く道、さぁ――天狗道(とおりゃんせ)


 コツっと杖で地面を叩き、地下を通して魔法陣を伸ばしていく。

 基本は円形、エルスレイン領を超えて、山脈との間で設置した魔法陣へ連結させる。

 結構広範囲に広げたからしばらくはドリーも大丈夫だろう。

 魔都への旅の途中にも設置する必要があるし。


『ふむふむ、これがマスターの大規模連結術式ねぇ』


 エアリスが体内から出てきては祠を観察する。


「道中でも見てたでしょ?」

『あの時は移動中だったからちゃんと見てなかったわ。それにしても、地脈を応用しているとはいえ元始の魔女様並みにとんでもないわね』

「まぁ、流石に伝説の魔女様に勝てるとは思ってないけどね。でも、私は世界一の魔女を目指しているんだからどんどん色々やるよ。名前を広めるために」

『それだけ聞くと売名行為みたいで俗っぽいわね』

「エアリス、貴方そんな言葉どこで覚えるの?」

『貴方の中よ。記憶とかいろいろ』

「あまり勝手に見ないでよ」

『プライベートな所は見てないわ。マスターのことを知りたい一(しもべ)のちょっとした楽しみもとい、お願いですよ』


 エアリス。彼女もだいぶ私に毒されている気がする。あ、そうだ。


「そういえばエアリス用にちゃんとエクリプス・ヘリオスのメンテをしていなかったわね」

『あの魔導書? そういえば魔陣書って呼ぶのよね』

「そうよ。私のオリジナル。呪文と魔法陣を応用した新しい魔法。精霊達に言葉でお願いして、記憶している魔法陣を個別に呼び出すことができる本。登録した魔法陣は空中にマナで描くため、マナさえあれば自動筆記してくれる。しかも個別に魔法陣を組み合わせて新しい魔法を作ることも可能」

『精霊に仕事をさせて魔法を使うなんて発想、よく思いつくわね。まぁ私たちも仕事としてやっていたけどこんな常駐してやるなんて』

「元の世界での経験でね、こういうツール、道具を使っていたのよ。それを精霊に肩代わりできないか考えてたの」


 実際、ロジックは簡略化しているが元の職場で使っていたプログラミングを応用している。

 魔法陣というソースを複数繋げ、時に呼出し、時に開放してリソースを管理しながら作り上げる魔法。

 その細かい調整は精霊達がしてくれる。

 だけど今までは単純な命令を個別に聞いてくれる精霊にお願いしていた。

 けれど、そこに指令を出せるメインが居たら?


「ねぇエアリス。貴方の存在をこの魔陣書に含めて構築してもいいかしら?」

『どういう意味?』

「貴方には私と精霊とのユーザーインターフェース、橋渡しになってほしいのよ。私の意図を精霊に正確に伝える役目。臨機応変に精霊にお願いできる役目。そうすれば魔法の発動がもっと自由になる」

『うーん、それって私の独断で魔陣書経由で魔法を使ってもいいってこと?』

「そうよ。私の指示を待たなくても、好きにしていいわ。その代わり」

『私の存在の一部を魔陣書に置いておくのね。遠くへは行けなくなるけど、これはこれで面白いわ。いいわマスター。やってちょうだい』

「ありがとう、エアリス」


 地下の部屋を後にして地上の屋敷へ戻る。

 途中の使用人の人に自分の部屋の場所を聞き、中に入って部屋の扉を閉める。


「さて、じゃあやりますか。3日もあるし早ければ1日くらいで改修できるでしょ!」


 それからしばらくして、夕食を知らせに来たルルやシュリットさんを集中しすぎて無視した私は突撃してきたドリーに連行されるまで魔陣書の改修に没頭した。



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