10月1日 三方向作戦開始 初っ端から出遅れる
おそらく平成26年10月1日
剣暦××年9月1日
ホビットの国ムーンスレイブ
薄墨の村
昨日の夜、僕達のパーティは3つに分かれ、早速それぞれの目的地へと向かう。
ジンさんとリーヨンちゃんは竜のグーさんに乗せてもらってオークの国王都『グレーテルオーバーラブ』を目指す。
僕とユキくんは、来た道を辿って、迷いの森を抜け、そのままさらに南進。
ドワーフの国との国境線を目指す。
そして、ピコちゃんは、さらに北東の方角に走り、ホビットの国王都『桔梗』へ行く。
他の二班を見送り、僕とユキくんも早速出発。
薄墨の村の人から「護衛をつけましょうか?」との申し出もあるが、丁重にお断りする。
流石に、これ以上まきこんでは、彼らに申し訳ない。
何故か、このホビット忍者というのはサービス精神が非常に高く、色々としてくれる。けれど、できるだけ僕に肩入れをさせたくないという気持ちもある。彼らは、あくまでハパナ・ムーンスレイブ陛下に忠誠を誓った身。
私情と同情で僕に協力し過ぎるのは、彼らのためにならない。
とりあえず、今朝まで泊めてもらって、朝ごはんを食べて、二人で出発する。
一時間後、迷いの森に到着。突入
二時間後、迷いの森で迷子になる。
三時間後。未だ抜けれず困っていると、展開が見えていたのだろう。ホビット忍者が迎えに来てくれた。
しょぼくれて、帰村。
泥だらけの服を洗濯してもらい、お昼ごはんをごちそうになる。
雨が降る。
僕の服を洗濯してくれたホビットのお姉さん (やっぱり黒装束を着ている)が、お茶を淹れて持ってきてくれた。
窓から雨天の外を眺める、僕とユキくんがあまりにせつなそうな眼をしていたのだろう。見かねて、なんか言った。
ユキくん曰く
「雨がやむまでいてくれたらいいですよ。森を抜けるまでの案内もつけますから、と言ってくれているのです」
お願いします、と通訳してもらった。
今頃、ジンさんとリーヨンちゃんはどうしているだろう。無事にオークの国に着いたのだろうか。
ピコちゃんは、濡れてないだろうか。
出鼻を挫かれる、初っ端だった。