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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
三方向作戦! 三カ国を巡るリーヨンちゃんとピコちゃん編
81/363

9月17日 ホビットの国 いざ、秘宝を求めて旅のはじまり

 おそらく平成26年9月17日

 剣暦××年8月17日


 ホビットの国

 西南部の草原のど真ん中

 満点の星空コッペパン座の真下くらい


 今日起こったこと

 

 オークの国にて

 王都グレーテルオーバーラブのキログラムさん家にリーヨンちゃんを連れて帰る。リーヨンちゃんの無事を確認すると、キログラム氏、僕に土下座する。

「無理を言っているのはわかっているが、どうかリーヨン様を助けてくれ」との懇願。こっちは元からそのつもり。無理ついでに、こちらも色々無理を言うが、二つ返事で頷き、約一時間で、僕とリーヨンちゃんの出国許可証を偽造する(リーヨンちゃんはもちろん偽名で)。

 いくらリーヨンちゃんの後見人だからと言って、見境なさ過ぎ。……ああ、僕の前歴にまだ公文書偽造がカウントされる。


 他にも色々と旅に必要な資金だの物品だのを揃える手はずを取ってもらった後、キログラム氏、リーヨンちゃん、ユキくん相手に、これからの対策について説明。

 つまり、詩鬼儀式を成功させるのに匹敵、もしくは超える何かをすればいいのだ。しかも、オーク国民達が我慢できる時間内に。

 その条件で僕が思いつくものとなれば、一つある。

 昔、オーバーラブ王家が保管し守っていたが、悪党ブンゴによってどこかへと持ち去られた七大秘宝の一つ『エターナル・ウォーター』を取り返すこと。

 そこで、あの日の儀式中に、リーヨンちゃんは啓示を受け、エターナルウォーターを探す旅に出たらしい、という噂を流してもらうことに。

 こんな無理を言えば、キログラム氏なんか緑の顔を真っ赤にして怒鳴りそうなものだけれど、なんか青ざめて「なんでお前が、秘宝の紛失を知っている」とか震えてる。

 ……やっべ、国家機密だった。

 盗み出したブンゴから直接聞いたからとは言えないし、そこはごまかした。

 ごまかしきれなかったけれど、次の説明で黙らせた。

 僕は、エターナルウォーターが今、どこにあるか知っている。手に入れるには、オークの力が必要になる。リーヨンちゃんを連れてそこにいき、持って帰りたい。

 

 神妙な顔をして、キログラム氏は「わかった、言われたも物を手配する」

 もっと絶句した顔をしてユキくんが「なんだか、とてつもないのです」

 何のことなのかさっぱりわかっていないリーヨンちゃんだけ、頭に?マークをつけていた。

 今日、旅立つ。



 今のまんまでは正体バレバレなので、変装。

 僕は、旅の商人風の格好。けれどでかすぎる図体で、皆わかるとツッコミ入る。

 ユキくんは無名なので、変装いらないと思うけれど、いつもよりみすぼらしい格好に、体くらいの大きさのバッグを背負っていかにもな旅人に。

 問題はリーヨンちゃん。体のいろんなところがでかくて、顔立ちも綺麗だから、どう変装すればいいのか、わからない。とりあえず、普通のオークっぽく、腰に棍棒つるして、オーク布一枚体に巻きつけて、長い髪をほどいて、顔を隠すようにした。怪しいなんてレベルじゃない不審者が出来上がる。キログラム氏からも「いまどきこんな古典的な格好のオークなんぞどこにもいない」と言われるが、それはあくまでオークの国の中の話で、他国ではオークのイメージってこうだよ? と説明すると、渋々納得した。当のリーヨンちゃんは「なんだか、私やっとオークになれた気がします」とか、反応に微妙に困る発言をしてくれた。




 ホビットの国にて

 国境線までは、問題なくついた。

 オークの国の王都から東に50もない。

 これ、ホビットの国から攻められたら、あっという間に王都に王手かけられないか?

 まあ、ホビットもオークも武力で解決するという発想に乏しい種族だから、いいのか。

 国境警備基地でのやりとりは、あっけなく片付いた。

 オーク側の入国管理官はガゴンさんだから、出来レースである。王都の情報は流れてきているのだろう。「リーヨン姫を頼む」とか言われて、大きな手で肩を掴まれた。お陰で夜になっても肩にあざ。

 ホビット側の入国管理官は、初めて見る人だったが「カンテラ! カンテラ!」とかホビット語で言ってた。国家公務員なんだから、せめて剣祖共通語を使って。

 しかし、仕事はきっちりやるタイプらしく、偽造したオークの出国許可証も、ルーペを使ってしっかりと確認していた。

 しかし、キログラム氏もきっちり仕事をしていたためか、問題なしと、入国できた。ただ、ユキくんを通して「オークの棍棒は持ち込み禁止危険物として指定されております。申し訳ありませんが、そちらの背の高い女性は、棍棒を国境警備基地に置いて入国してください、また、そのオーク布一枚を身に纏われただけの姿では、公共風俗条例違反ですので、旅装かマントを羽織るようにお願い致します、あと、このようなことを言うのは差出がましいとは思いますが、髪は括られた方がお綺麗ですよ」とか言われて、正体を隠すために身に着けていたリーヨンちゃんの普通のオーク変装グッズは没収された。

 いつも通りの、人間ぽい服に変身。


 それで、三人でホビットの国に入る。


 目指すは、僕が異界ラドゥバレトフで最初に迷い込んだ、ホビットの村。

 本当ならこのついでに、ホビット王にあいさつとかできたらいいのだけれど、時間ないしまた今度。


 いくらなんでも、僕が入国したこと一々チェックしてないだろうし、フットワーク軽く会いに来てくれたりもしないだろうから。



 今夜も野宿。

 何故か、毛布を忘れており、三人肩を寄せ合って眠る。

 ……おかしいなあ、リュックに入れたはずなのに。

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