8月29日 レミィちゃん 来る2
おそらく平成26年8月29日
剣暦7月29日
レミィちゃんが今日も遊びに来たが、昨日とは打って変わって、ドワーフ軍装だった。
どうしたの? と訊いたら、ガラじゃないからやっぱりやめた、との声。
もったいない。
けれど、僕が変なこと言ったせいでオシャレする気失せたとかだと、なんか嫌だな。
「いつも言ってるだろ、私はシンプルな方を選ぶって。私はドワーフだから、ドワーフの服を着る。そう決めただけのことだ。別におめーのせいでもおかげでもねーよ」
そうは言うけれど、それだとつまり可愛い服を着るかどうか迷ったってことだよね、しかも、それってかなり深刻に悩む時の思考法だよね、と確認を取ると、また顔を赤くして怒鳴られた。
余計なことは、言ってはならない。
※※
「しかし、お前ジンを手放すなんて思いきったことしたな」
椅子に座るや、一番にレミィちゃんは言った。ちなみに、本日もデミトリとレンちゃんの通訳あり。
「それは、ジンさんの好きにしてもらえばいいことだから。って言うか、もうその噂流れてるの?」
「流れてるって言うか、世界中に発信されてるぜ。カンテラが、案内人を解雇したって」
「解雇じゃねーし、契約満期。円満な終了だっつーのに」
「おまえらデキてるんじゃないかってくらいつるんでたろーが」
「僕とジンさんのつながりは、距離くらいじゃどうにもならんのよ」
「じゃ、やっぱり」
レミィちゃんが声をひそめる。
「オークとの交渉を自分の手でコントロールするために、ジンを潜り込ませたって噂は本当なわけか」
頭が痛くなる。
「するわけないでしょそんなこと。単純に、必要だと思う行動を取った結果だよ。ジンさん以上に、オークと人間両方のことをわかってる人はこの世界にいないのだから、そりゃ行かねばならないってことだよ」
「なぁんだ、つまんねーの」
「いいんだよ、つまらなくて」
もう、僕が関わる余地なんてなくていいのだ。
「でもカンテラ、よく快諾したよな。通商条約の内容検討の使節団なんて、下手すりゃ10年は帰ってこないぞ」
……え?




