3月22日
全部終わったので、この手帳に経緯をまとめることにする。
僕の名前は高町観照
昭和61年3月11日生まれ
身長190m 体重120kg
日本人
職業 大沼県月本市役所 道路課勤務
趣味 休みの日に映画館で洋画を字幕版と吹替版の両方みること。
平成25年3月22日
実家の近くの月本神社境内にて神隠しに会い、ラドゥバレトフ大陸に召喚される。
突然森の中に打ち捨てられた際にホビット族に捕まってしまい、財布や携帯、それに愛用のこの手帳を取られてしまって、取り戻すのに一年近くかかってしまった。実際にこの記述は平成26年3月23日に書いている。しかし、本当に平成26年の3月23日かは実を言うと、自信がない。
何しろ、日付を証明できるものがないし、あっても、この世界では剣歴とか言う暦を利用しているのだ。
先日誕生日を祝った際に、実年齢の数だけ鳴くオウムとか言うのを頭にのっけた際、ちゃんと28回鳴いたからたぶん、あっているのだろう。
その時、そのオウムが女王陛下の頭の上に乗ろうとしたものだから、大変なことになるところだった。
さて、実は僕はこの世界で命を狙われていて、もし僕がやられても、誰かがこのメモ帳を読んでくれたらきっと秘密を暴露できると思い、前付けに走り書きをした。けれど、なんとか無事にすべてが終わってくれたおかげで、平和な日々が帰ってきた。
通訳の犬人のジンさんも、ダークエルフのレンちゃんも、皆無事に帰ってきた。
また、明日から旅を続けようと思う。
この手帳は、旅行記として、旅先で出会った人たちの記録を残すために使うことにする。
人と人の心を繋ぐことが、決して魔王の所業ではないことを、僕は示したい。




