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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
回顧録! かんてらOverWorld/Zero編
359/363

12月24日 草原の国 背中に翼の生えた女の子の正体が判明した。

 おそらく平成27年12月24日

 剣暦×○年11月24日


 草原の国グラスフィールド

 王都 僕の屋敷



 豊後恵が帰ってきた。

 行きはチューブトップにホットパンツとこの冬を舐めたカジュアルなファッションだったのに、今朝、玄関に現れた時は、何故か熊の毛皮を被っていた。

 どういうイメチェンか尋ねたら、氷に閉ざされた山林で生きる雪エルフから譲ってもらったらしい。

 よくそんな貴重品をもらえたねと感心したら「いや、もっと大きい熊をしとめたからそいつと交換してもらった。やばかった。三回殺されかけた。いや、不老不死なんだけどさ」

 ……お前、熊狩ったんか。

「冬眠に失敗して中途で目覚めてしまったやばい熊だった」

 それを仕留めたんか。

「これでも、 750年生きてるんだぜ。もっとヤバイ怪獣だって狩ってる」

 リアルモンスターハンター、豊後恵。

 で、土産話を聞きながらも一番大事な「で、なんでコイオリちゃんがいないのか?」と訊いた。


 豊後恵曰く。

「あの子の正体がわかった。彼女はそうだな、日本語訳したら『黒翼人』だ。剣祖が生まれるよりもずっと前。1200年以上前に栄えた王国の生き残り。王国が環境破壊兵器『冥王』によって滅びた時、歴史を伝えるために長い眠りについた7人の有翼人の一人だ」

「王国が滅びる時に『冥王』は解体され、七つの秘宝として故国ギヌンガガプに保管された。それを元に700年前の異界漂流者は全ての魔道具と、次元跳躍機『魔王』を作ったのは君も知ってるよね。うん、実はそんなバックストーリーがあったことに私もびっくりしてる。初めて聞いた」

「で、ほら。私達の世界の映画であったじゃん、外国の映画に出てくる冷凍ガスですごい長い間眠りにつくやつ。こーるどすりーぷ? そう、それそれ。そんな感じでコイオリ達は眠ってて、もし『冥王』の材料である七つの秘宝に異常があれば、目覚めるように設定されていたわけ」


 秘宝にそんな秘密あったんだ……。


 っていうか。

 秘宝に異常があるってどういうことよ。

 恵以外に秘宝をどうこうしようなんて奴が現れたのか?!



「いや、オーク秘宝エターナルウォーターを粉々にしたり、紋国秘宝絶対に朽ちぬ城を勝手に所有権上書きしたり、ドワーフ秘宝歩く鋼の巨人を海に沈めたり、エルフ秘宝ミキテルの封印を三秒程うっかり解放してしまったの、誰よ」



 僕です。


 

 ……つまり、そのせいでコイオリちゃんは1200年の眠りから目覚めたというのか?


「温泉町の隣の森の中で、コイオリが眠っていた棺を見つけてきた。ついでに、エルフの国の最北にあるはずの、鷲翼人ダンジョウ・シャッタードの眠る棺を見に行ったら、そこの封印も解除されていた。コイオリは今大陸中を飛んで、目覚めている筈の他の6人の有翼人を探している。秘宝の異常シグナルはノーカンで、もう一度眠りに付く必要があることを教えに」


 ……コイオリちゃんは、もう一回封印されねばならないらしい。少なくとも本人はそう思っている。

 何か、感想を言おうとする前に、恵が突然言い出した。


「ねえ、高町君。多分、一週間くらい。来月にはコイオリは一度帰ってくる。……、ねえ。『もう一度封印される必要なんてないから、ここで暮らしなよ』と、君の口から言ってもらうのは、むしがよすぎるだろうか?」


 とても、真剣ですがるような言いぶりであった。

 むしのいいことを言いおる。

 こいつ、僕が何と答えるかわかってて訊いてるんじゃないだろうな。


 今日は、昔話はお休み。


 


 

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