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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
旅の始末
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11月3日 草原の国 ダークエルフメイド達の始末・2


 おそらく平成27年11月3日

 剣暦×○年10月3日


 草原の国グラスフィールド

 王都 僕の屋敷



 僕の家族みたいなメイド達を、奉公にいかせるわけだし、セイロン大元帥の人となりを少しくらい知っておいた方がいいかな、と思っていたら、恵が色々と調べていた。

 手回し早いな。

 

 草原の国グラスフィールド国軍 リアルド・ザ・セイロン退役大元帥61歳

 去年までは、この国の軍人で現役最高齢人で、総司令官として軍運用の頂点にいた。のだが、去年退役してその時に大元帥の称号を贈答されたそうだ。

 豪放磊落なキャラクターしたじいさんで、人気はあるが、金は軍備やら飲み代やらにすぐ使ってしまうのであんまり蓄えはない。とにかく若い娘が好きで、生涯独身を貫いてしまった。

 プライベートでは、短気で喧嘩っぱやいのが玉に傷。


 そんな老人が若いメイドを10人も雇うとか、コメントするのも憚られる事態を想像するが。

 真相は、もっとコメントしづらかった。

 このじいさん、老後の道楽に孤児院を作ってしまったそうだ。

 基本、事務だの経理だの補給だの面倒なことは信頼する部下に丸投げするタイプの将軍だったので、まったくノープランでドでかい、王都中の孤児を全部面倒できるような建築物を郊外に建てたら、『なんだか知らんうちに一文無しになった』らしい。

 さすがに今まで我慢してきた下人達も、付き合いきれなくなったのか次々と辞めて行った。その辞める召使達にも退職金を気前よく振る舞ったのがトドメになったのか、建物の差押えの危機を迎えつつある。

 その成り行きを聞いた国王陛下が、少し不憫になったのか、軍人年金を少しでも多く受け取れるように、彼を退役後大元帥に昇進させたというのが、もっぱらの噂である。

 そういうわけで、セイロン卿がメイドを募集したのは、孤児院運用に必要な人材集めだったらしい。

 ううむ。ダークエルフ達は大丈夫だろうか?


 恵が言うには「エルフというのは人間よりも頑丈にできているし、その中でもダークエルフは忠を尽くすことに命をかける。薄給激務な仕事が、一番向いているのかもしれないな」

 なんかそれ奴隷向きだって言ってるようなもんじゃないの?

 彼女はあっけらかんと言う。

「そうだよ? 黒麗鬼ダークエルフは、その出自と経緯からか、金にも名声にも興味はない。彼女達に必要なのは、忠誠を尽くすに値する主人のみさ」

 そういう意味では、君よりもその元帥とやらの方が似合いかもしれんね。等と言われては、僕も立つ瀬がない。

 しばらくしたら、様子を見に行こう。

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