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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
目指せ退位! オーバーフラッグ王カンテラ編
287/363

6月22日 紋の国 ゴダバ陛下の生い立ち


 おそらく平成27年6月22日

 剣暦×○年5月22日


 紋の国オーバーフラッグ

 王城



 朝、メイドのウルケさんに髭と頭を剃ってもらいながら考えた。

 昨日、重臣達に、王家にだけ伝わる王位継承の秘術について説明してしまったわけでが。

 異世界から来たぽっと出の王様代理が、王様の許可も取らずにそんな秘密をばらしてしまったのは、まずかったんじゃないだろうか。

 非常に、今更だけれど。


 気になって朝からモップがけにいそしむ雑用人夫のゴダバ陛下(元)に訊く。

 本人はあっけらかんと『別にいーんじゃねーの? 別に魔法の玉座に座れるから王様になったわけじゃないし、俺の臣下だってそんなものを根拠に俺を陛下と呼んでくれるわけでもない』と器の広いことを言ってくれた。

『というか、俺もまさか玉座に尻を蹴飛ばされるなんて知らなかったわ』

 ……先王から聞いてないのだろうか?


 本人はあっけらかんと説明してくれたが、そもそもゴダバ陛下が王子だった時、彼は妾腹の三男で継承権争いの蚊帳の外にいたんだと。留学として剣国で学生してて、今の側近たちととりあえず国費で勉強していた。

 そんなこんなで、先王が突然倒れた時も死に目にもあえず、兄二人は継承争いをして共倒れになり、慌てて帰国したら、いきなり王様にさせられた。

 仕方がないので、必死こいて王位を継いで、道路拡幅事業を完了させて、山賊を3つ程根絶やしにして、各国首脳への根回しを済ませたら、今に至るとか。

『本当、余裕のない人生だったわ』

 だからだろうか、雑巾がけをこんなに楽しくやってる王族なんて、初めて見た。

 ゴダバ陛下は言う。

『なあ、カンテラ。このまま王様続けないか? 実を言うと、ウルケの姉貴ってオーバーフラッグ王家の血を引いてるんだよ。だから娶ってくれりゃ王家の血も絶えないし』

 ウルケさん、やっぱ王族だったんか……。

 とりあえず、『アホか』と言おうと思ったけれど、もっと効く言葉があった。

『いや、ゴダバ陛下は宰相の結婚式出なくちゃいけないんだから、今週中に王様交代しますからね』

 陛下は、なんか苦笑いだった。


 ……しかし、 旗は間に合うのだろうか。

 やっぱああいう織物って、手工芸品だから、3日くらいでできるもんじゃないよなあ。

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