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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
草原の国へ帰ろう!ドワーフの国旅行編
28/363

8月4日 草原の国 国境警備隊の基地の拘置所で夜を明かす予定

 おそらく平成26年8月4日

 剣暦7月4日


 草原の国グラスフィールド 国境警備隊 北方方面基地 拘置所内


 酵母以外にもいろいろ取られてしまったが、ペンと手帳だけは取られずに済んだ。それでよしとしよう。


 どうやら、国境警備隊と国軍はあんまり仲がよろしくないらしく、密入国の容疑で捕まるべき僕たちが国軍によって連行されるのに反対し、王都からの逮捕状が届くまで、国境警備隊の拘置所にとどめることを決定したとのこと。


 僕の荷物は王都に持ってかれた。

 ああ、旅の思い出の品が。


 でも、一番つらいのは、ジンさんやタマちゃんまで、共犯として捕まってしまい、荷物を没収されてしまったこと。

 ジンさんはマントも、組み立て式釣りざおも、それに、家宝の世界地図まで奪われた。

 タマちゃんはあのリュック全部。


 無敵の枠外巡礼者不可侵協定様も、犯罪に関する場合は別の問題らしい。それはそれで健全な問題だけど。


 でも、二人とも僕の立場を慮って、反抗したりせずに、おとなしく僕と一緒に閉じ込められてくれている。

 僕は自分がそんなに大した奴じゃないとわかっているけれど、それでも無力であることに改めて、凹まされた。



 ※※



「カンテラ、すまん。俺の不手際で、何もかもを台無しにしてしまった」

 隣の房にいるだろう、ジンさんの声。

「謝らなくちゃいけないのは、僕です。僕のせいで、ジンさんもタマちゃんも、大事なものを」

 声が、うまく出ない。

「二人とも悪くないにゃっ! 全部、私が、私がドジったばかりに、本当に、本当にごめんなさい……」

 あの図太くて図々しくて、不遜なタマちゃんまで泣きべそをかいている。


 

 凹む。

 ラドゥバレトフに漂着して、もう一年半。

 けれど、これほど凹むのは久しぶりだ。


「だって、ジンさん。あの地図、大切なものだったんでしょう?」

「あんなの、写本の写本で、原本は実家に置いてきてある!」

「あ、そうなんだ。で、でもタマちゃん、君だって荷物を」

「うぅ、せっかく紋の国で安く手に入った粗悪品をドワーフ製と偽装表示して高値で売りさばこうと思ったのにー!」

「あ、没収されてよかったね」

「し、しかしカンテラ、お前の荷物だって」

「言っても、おやつとか替えの下着とかしか入ってないしなあ。一番大事な手帳はここにあるし」



 ……。


「あんまり悲観することないね」

「そうだな」

「な、何言ってるにゃ! こっちは商品取られておまんま食い上げだにゃ」

「夕飯出るってさ」

「あ、ならいいにゃ」



 ああ、やっぱり僕の旅はこうでなくちゃ


  

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