6月14日 紋の国 ついにゴダバ陛下に会う
おそらく平成27年6月14日
剣暦×○年5月14日
紋の国オーバーラブ
横一文字街道第9宿場町 つまり 王都ダブルイーグル
ゴダバ・オーバーフラッグ1世とテ・ケロムーチョ楽兵団はあっさり見つかった。
この町の裏社会をとりしきるあの恰幅のいい髭のおじさんのアジトに匿われていた。というか、無理矢理匿わさせていた。
悪党のボスがもう苦い顔して『もうやだこの国の上層部』とか愚痴っていた。
実を言うと、僕は紋王ゴダバ陛下を初めて見た。
意外と言うか、めっちゃ若い。僕と同じくらいの年だ。彼の子飼いの政治家達の年齢を考えれば、そんなものと想像はついてよかったのだけれど、びっくりした。背が高くて、それなりにハンサムな自信に満ちた目をした男性。
ちなみに、やっぱり頭は丸かった。
こんな目立つ人なのに、国中の目撃者や兵士たちは王様だと気付かなかったのだろうか? やはりそこは、魔道具『決して朽ちぬ城』を通して『この国の王として認識される権利』が僕の元にあるせいだろう。だから、今彼を王とすぐにわかるのは、彼を心底王と仰いでいる城の連中くらいなもんだろう。
彼を心底王と仰いでいるらしい、ウルケさんとゴリラさんは、彼の姿を見るや、飛びついていた。
『あ、ゴリに姉貴! なんでこんなところにぐえっ!』とか言って二人にのしかかれて気絶してた。……姉貴ってどういうことだ?!
目が覚めた王様に色々確認すると、やはりというか、ゴダバ陛下は、世界廃滅主義者に奪われた王城が、僕と紋国人有志の手によって奪い返された事実というのを知らず、自分の手で城を取り返すために、楽兵団の連中を仲間にして帰って来ていたらしい。
いや、世界一下手な楽団を引き連れてどうやって城を取り返すつもりだったのだろう?
しかしそれを言うと、僕も似たようなものか。その時出会った人達と無理難題を解決するために旅をするのは、全国共通なのだろうか……?
とりあえず王城は紋国人の手に取り返しているので、あとはゴダバ陛下が城に戻り、城のてっぺんにゴダバ王旗ミツクビを掲げれば王権は僕から彼に移譲される。そういう魔法なのだ。
まあ、問題はその王旗が未だに行方知れずなんだけれど。
そして、問題がもう一つ。
テ・ケロムーチョ楽兵団のコンサートをどうしてもやりたいらしい。
王都に突入したのは、王城を取り戻すことと、彼らの演奏会をこの街ですることの、2つの目的があったからだと言う。
ゴリラさんが『ミキテル様、どうするウホ?』とか訊いて来るけれど、この国の本来の王様がしたいというなら、するしかないんじゃないだろうか?