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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
目指せ退位! オーバーフラッグ王カンテラ編
268/363

6月3日 新王様、ジョーンズ卿継嗣の結婚披露宴に参加する。

 おそらく平成27年6月3日

 剣暦×○年6月3日


 『決して朽ちぬ城』



 今日はジョーンズ卿とか言うめっちゃ偉い貴族の長男が結婚式を挙げるということで、行って来た。

 一応、ジョーンズ卿にはゴダバ陛下は行方不明で、僕が代わりに王城の所有権を以って王様代理を果たしていることは説明済。

 僕が王様をやっていることを知ってるのは、お世話係達と、宰相と8人の大臣。それと元帥3人のみ。あとの人達は王様が一時交代していることを知らないので、ごまかす必要がある。

 式自体には顔を出さずに、披露宴だけホールの2階貴賓席から眺めるという形で、出席者に見られない様に配慮してもらうことに。

 披露宴に到着すると、一度司会から紹介されて拍手と共に僕に注目が集まったが、2階は思ったより高いところにあって、真紅のマントと昨日ばっちり剃りあげた禿げ頭で、遠目には本物の王様にしか見えなかっただろう。

 なんか『陛下、大きくないか?』というような怪訝そうな声も聞こえたが、なんとかなった。

 披露宴のごちそうが次々に運ばれてくるが、これも役得とぺろりとたいらげる。

 うまい! この国もそうだけれど、この世界の野菜はなんかうまい。

 ふと1階広間を眺めると、皆のテーブルには僕のところに運ばれていない料理が見られた。

 なんだろう? 

 給仕さんに『あれは出ないんですか?』と訊くと妙に恐縮しきった給仕さんが『あれは茄子でございます。陛下は、その、茄子はお好みになられないと聞きまして……』

 本物の王様は、茄子嫌いだったのか。

 やばい、ばれると思い『いや、いいです』と答えてことなきを得る。

 足早にその場から離れる給仕さんが『……陛下ってあんなでかかったっけ?』とか呟いていたけど、聞かなかったことにする。


 そろそろばれそうなので、デザートを食べて退出した。

 式も披露宴も無事に終わったようで、それが何より。

 帰ると宰相から、何も問題なかったか? と訊かれたので、茄子料理が食べれなかったことを愚痴る。

 『いえ、茄子嫌いの陛下がいきなり食べたら怪しまれますので』と返答が返ってきたので、たべさせてはもらえないらしい。残念。

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