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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
エルフロードを越えて! フロッグワード入国編
251/363

3月30日 エルフの国 ダークエルフがエルフに対して思ったこと 昼寝して時間を貪る

 おそらく平成27年3月30日

 剣暦×○年2月30日


 エルフの国フロッグワード

 王都オトヤ 秘宝探索委員会本部仮眠室



 ジンさんに付き合って徹夜で読書。

 その次はニオ殿下の将棋の相手。

 眠過ぎる。

 部屋でぼんやりうとうとしていると、いつの間にか、向かいの壁の椅子に、ダークエルフのレンちゃんが座っていた。

 しかしレンちゃんは姿勢がいい。

 超猫背の僕としては羨ましい限り。

 そんなところで何しているの? と訊くと「することがないのでカンテラ様のお傍に」

 この子忍者か何かか?

 ……、そう言えば、ダークエルフの暗殺者だった。

 別に僕の護衛なんてしなくても、したいことして時間潰してくれたらいいのにとぼんやり頭で口にすると「カンテラ様をお守りすることが、私の一番したいことですから」

 この子武士か何かだろうか。

 忠義。ダークエルフの独特の美学。いやまあそれは素敵だけれど、わざわざ忠誠の対象を僕にしなくてもいいのにな。

 まあ、僕としてはレンちゃんがいてくれるのはかなり助かるんだけれど。

 ……。

 ふと、訊かないでいいことを訊いてしまった。「ダークエルフには、エルフの国は居心地は悪いか?」

 エルフの国から、エルフが開拓する過酷な大地から眼を背けた流浪の民。

 エルフが、剣祖文明人がダークエルフに持つ前提イメージがそれ。

 きっとダークエルフ自体にとってもそうなのだろうと思う。なのに、つい訊いてしまった。

 

 けれど、レンちゃんの答えはあっけらかんとしたものだった。

「自分でもびっくりするくらい何にもありません。最初は肌の白いエルフの綺麗な人達を見て、心にさざ波も立ちましたけれど、彼らは私を見ても何にも思っていないみたいでした。私が気にするようなこと、彼女らは気にしていませんでした。私が打ち解けようとすれば、ただの異国人として接してくれました。ただ、その程度のことだったんですね」

 むしろ、カンテラ様の下僕として少し尊敬の眼で見られたりもしちゃいました。なんて笑う。

 「僕は『様』なんてものでもないし、レンちゃんは下僕でもないよ」と念を押したけれど、レンちゃんはからからと笑って。また表情を消して姿勢を正した。

 クールビューティは、僕が居眠りしている間、ずっと護衛をしてくれていた。


 いかんなあレンちゃん。僕の屋敷でメイドごっこしている時も、寝坊した僕を起こさなかった。

 それではいい下僕にはなれんよ。


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