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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
エルフロードを越えて! フロッグワード入国編
250/363

3月29日 エルフの国 ニオ姫とエルフ将棋古式ルールを打つ。ぼろ負け。


 おそらく平成27年3月29日

 剣暦×○年2月29日


 エルフの国フロッグワード

 王都オトヤ ニオ姫の部屋で一晩明かす



 昨日、エルフ典礼局書庫で徹夜をしてしまった。

 一晩付き合ってくれた書庫さんには多大な感謝を伝えて後にする。

 ジンさんの、ツヤツヤした顔。よっぽど嬉しかったのだろう。

 それに、成果はあった。北東端神殿についてある情報を手に入れていた。

 エルフは、名を継ぐということをよくやる。

 例えば、宰相のテッサイさんは、本当の名前はオンナ・ラ=セツ。

 けれど、家長としてテッサイの名を継いでいる。

 ニオ姫も、王位継承を行えば、先王と同じオーガを名乗ることになる。(しかし、グイ将軍と結婚した場合どっちがオーガを名乗るんだろう……?)

 同じように、エルフ領北東端にある神殿の司祭も、代々ある名前を継いでいる。

 その名は、ジャクチュウ。

 ……。うん、僕その名前のエルフを一人知っている。



 午後、姫様の部屋に呼ばれる。相も変わらずグイ将軍にべったりかと思いきや、将軍も仕事があるので部屋にいないらしく暇してた。

 ふと、部屋隅に将棋盤みたいなものが落ちていた。

 エルフ将棋というやつか。ジンさんなんか「打てるのか? なんというか、こういう頭脳遊戯は、お前という男の対極にありそうなものだが」なんて言う。失敬な、旅先の漁村で駒の動かし方を教えてもらったのだ!

 まあ、半分呆けた婆様から、独特なルールでだけれど。

 ニオ殿下と対局。基本的に僕は超ド素人なので飛車角金銀抜きくらいのハンデ戦でようやく指南してもらっているような能力差。

 さっさと負けてジンさんかタマちゃんに代わってもらった方がいいよなーと思ってぼんやり打ってると、つい王手の前の手で【キャイ】と言ってしまった。

 しまった、これは漁村のお婆さんにしか通じないルールなのに、と思ってニオ殿下にどうやって言い訳しようかと思ったら、ニオ殿下驚いていた。

「あなたが、何故その作法を知っているのですか」

 ときたもんだ。

 もしやと思い、ある駒が通常の動きをしなくなる現象や、自軍の駒を動かして相手の駒を取った後、その2マス四方に相手のアラビア数字みたいな模様の駒がいない場合は、もう一度動かせるというルールがあるのかを確認してみる。

 曰く「あります。今は廃れた王家とある神官の一族にのみ伝わる古式ルールです。この城では、私と実の母しかもう打てるものはいないのですが……」

 念のためにもしかして、その神官ってジャクチュウって名前? と訊くと「そうです。何故ご存じなのですか?!」ときたもんだ。

 なんとなく、つながってきた。

 現在、北東神殿の神官ジャクチュウが行方不明と言うが、それが海エルフの漁村のジャクチュウさんと言うことか? いや、ジャクチュウさんは40年前にはすでに漁村にいた。

 ……なら、ジャクチュウさんの息子さんが神官を継いでいるんじゃないだろうか。しかし、ジャクチュウさんの息子さん、亡くなっているんだよな。

 そして、40年に一度極秘に行われる儀式のことを誰も知らなかったから、王都にその報せが届かなかったのか?

 ……よし、一度、海エルフの漁村に戻ろう。


 ちなみに、対局自体は僕のぼろ負けだった。

 姫様よっぽど退屈していたのかその後10局くらい相手させられたが見るも無残な10連敗だった。

 ジンさんが僕の圧倒的な弱さに絶句していた。ドン引きだった。

 知らんがな、こんな頭脳遊戯、僕のような男の対極じゃないの。

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