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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
エルフロードを越えて! フロッグワード入国編
242/363

3月21日 エルフの国 運命の人事部長は粋なことをする


 おそらく平成27年3月21日

 剣暦×○年2月21日


 エルフの国フロッグワード

 王都オトヤ



 紛失秘宝ミキテルを探して、世界各地に飛んでいるエルフエージェント。

 今日は、外務卿ヒロシゲ・ウラさんの執務室で彼が派遣した調査員からの報告書を聞き、今後の調査計画について考える、という日だった。



 ……。とんでもない事実が判明した。



 ウラさんが外務卿になるよりも前。草原の国に使節として赴き数年を過ごしたことがある。

 そして、その滞在期間中に、人間の娘と良い仲になった。

 結局、宮仕えの悲しさからか、エルフの国への帰還命令があり離れ離れになった二人。ウラさんは彼女に共に国に来ないか、結婚しようと告白したが、返事はノーだった。お互い想い合っていても、まだ、人とエルフの心がずっと離れていた時代の話、相手の娘さんも怖かったのだろう。

「あの時、無理やりにでもエルフの国に連れて帰ればよかった」なんて、ウラさんは言ってしまった。

 もしかして、人の国のエルフの国をつなぐエルフロードに固執する理由もそこにあるんじゃないだろうか、なんて思ったりもした。



 が、それどころじゃない問題が発生した。

 ウラ卿は言った。

『もし、子どもが生まれたら名前はテトラにしよう、なんて話までしたんですよ』



 草原の国の裏路地に、ハーフエルフの踊り子テトラという女性がいたことを、僕は覚えている。

 そしてパーティの一人アームさんの目的は、この国にいるはずのテトラさんの父親を探すこと。その人を探し、テトラという娘が生まれたことさえ知らないはずの彼に、結婚の許可と祝福をもらうこと。



 やべえ、秘宝なんて探している場合じゃない。


 速攻でアームさんを連れてきて外務卿と合わせた。

 獅頭人のスケさんの通訳で、二人は会話。

 色々会話して、二人は義理の親子となることが決まった。


 さて、しかしここで問題がある。

 祝福をしてもらうために、ウラさんとテトラさんを会わせなければならない。

 ということは、誰かが、エルフロードを通って、草原の国に帰ってテトラさんを連れてここまで戻ってこなければならない。

 

 誰がやるか? だ。


 そりゃ、僕がやるところなのだけれど、アームさんが止めた。

『それは、俺の務めだ。お前は、お前の務めをしてくれ』

 非の打ちどころのない正論だが、エルフロードを案内できる獣頭人が必要だろう。

 カクさんに頼んだ。カクさんも

「頼まれれば致します。けれど、私はカンテラさんのエルフ国遣使としての役目を補佐するためにここにいます。このような瑣事のために、お傍を離れてもよいのですか?」

 まさにその通りなのだが、僕にはこのような瑣事を救いあげてくれる案内人が不可欠なのだと伝えると「ならば、全力で」と納得してくれた。

 

 そういうわけで、パーティからアームさんとスケさんが離れることに。

 仲のいい人間と、一流の案内人を一時失うのはきついが、仕方がない。

 

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