3月20日 エルフの国 運命の人事部長は僕に微笑む
おそらく平成27年3月20日
剣暦×○年2月20日
エルフの国フロッグワード
王都オトヤ
僕のこれまでの異世界人生で、何度かこういうおつかいがあった。
その度に頭を悩ませたのは、人手が足りないということ。
大体2、3人で旅をしてトラブルに巻き込まれて、その場で友達になった人や遠くの知人に手紙を出して助けてもらう、ということの連続だったが。
今回は違う。
把握するのもおっくうなくらいの人数がいる。
しかも、ジンさんとレンちゃんからも手紙が来た。
もう、エルフの国に入っているってさ。
意外と、今回のおつかいも簡単に済むかもしれないな。
※※
「でも、いつの間にワン公とレンと連絡なんて取っていたにゃ? そんな気配微塵もなかったにゃ」
昼、御茶をしている時にタマちゃんが不思議そうに訊いてきた。
「いんや、草原の国の僕の家を出発する時にね、レンちゃんに僕の手紙を持ってオークの国のジンさんに会いに行ってもらったの。もし、今回のエルフの国行きが大事件になるのなら、ジンさんには僕の横にいてもらいたいから」
「ワン公のこと、買ってるんだにゃ」
「そりゃね、この世界で一番の友達だし、一番ツッコミ力もあるし。まあ、大陸七国全てに顔がきく獣頭人だってのもあるけどさ」
「最後が一番重要じゃねーか、にゃ」
「でもまあ、エルフの人達で調査がほとんど済んでいるし、今回は仲間がたくさんいるし、ジンさんが来てもすることないかもしれないけれど」
「……」
「え、どうして無言?」
するとタマちゃん、とっても心配した顔で
「……いや、こういう調子がいい時って、いつも何かしらのトラブルが発生してる気がして、明日あたり何かとんでもないこと起きないかにゃ……って。いや、なんでもないにゃ、忘れて欲しいにゃ」
やめて、忘れられないから……