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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
エルフロードを越えて! フロッグワード入国編
210/363

2月12日 エルフの国 スケさんが眼を覚ます

 おそらく平成27年2月12日

 剣暦×○年1月12日


 エルフの国フロッグワード

 海エルフの漁村



 今朝方、スケさんが眼を覚ました。

 とても嬉しい。スケさんの看病を手伝ってくれた海エルフのイブキさんと手を取り合って踊る。

 ちなみにこのイブキさんとは、僕がこの村で最初に出会ったあの日焼けした金髪の妙に薄着の女の人。

 身振り手振りでお互いの名前を教え合うことに成功している。

 スケさんは開口一番「まったく、だから吾輩空など飛びたくなかったのである」

 どうやら、彼も高所恐怖症だったようだ。


 スケさんが、エルフ語で村人にお礼を言って、ついでにここがどこで今がいつかを訊いてくれた。

 今は、平成27年2月12日。剣暦×○年1月12日。

 ここは、エルフの国フロッグワードに点在するエルフ村の一つ。

 フロッグワードを縦断する大水系の末端の一つ、エルフ領最南端の村。紋の国との国境付近。

 海で生計を立てる海エルフの村だそうだ。

 海エルフってなんぞ? 漁師のエルフってことか?

 そういや皆日焼けしてるし、筋肉ついてる。


 魚とか、海獣を取って、食べたり、燃料用に揃えた脂を商エルフに売ったり、人間に魚を売ったりして、生計を立てている。僕が紋の国で食べてた魚も、ここで獲った物が紋の国の漁港に運ばれて、そこから横一文字街道の各宿場に流れて来ていたんだとか。

 ん? エルフロードを通らなくても物流が可能なの?

 スケさん曰く「人間がエルフの領内に入るのは難しいが、エルフが人の国に行き来するのは、難しくないのである。ただ、今回は海の問題なのであるが……。この近海のいい漁場は、エルフの縄張りなのである。人間が漁に出れば通行料は取られるし、大抵の場合、新鮮な魚をエルフから買わねばならぬのである」

 それ半分海賊じゃん、とツッコムと「まさに、そうなのである」

 でも、僕が助けを求めたら家にいれてくれたし、スケさんの手当てもしてくれたよ? と食いつくと「それもまた、エルフなのである」


 そういうものなのか。

 

 とりあえず、その日はスケさんには寝て休んでもらうことにした。

 スケさんを通訳とすることで、彼の体調を知ることができたが、獅子男が頑丈だったせいか、致命的な傷は負ってないないが、唾付けておけば治るような怪我でもない。しばらくは静養が必要だそうだ。

 急ぎの旅だ先に行くのである、置いて行くのも友情に報いることなのである。なんてスケさんは言っていたけれど、そこまで僕は信義に厚い男じゃないし、そもそもスケさんがいなければエルフ語で「厠はどこですか?」も訊けないのだ。

 一緒に行こうよ、と言って、なんだか僕も気が抜けたせいか、一日ぐっすりと眠ってしまい、今に至る。

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